2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H01084
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 節 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (50259983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 晃一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 研究機関講師 (10353369)
藏重 久弥 神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20205181)
山下 智弘 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20567086)
大町 千尋 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20588967)
阿蘇 司 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30290737)
歳藤 利行 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (30377965)
田中 覚 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60251980)
木村 彰徳 足利大学, 工学部, 教授 (60373099)
尾崎 正伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90300699)
岡田 勝吾 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 博士研究員 (40731732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線シミュレーション / 超並列 / GPGPU |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線シミュレーションのために最も普及しているソフトウエアであるGeant4を開発し、保守している経験を生かし、GPUを用いた超並列放射線シミュレータMPEXSシリーズの開発とそれに必要な研究を実施している。放射線が入射する物体の形状や物質の記述法を簡略し、超並列化を考慮に入れた計算手法を確立した上で、新たに設計と実装を行った。MPEXS本体は、物体の形状の記述、粒子の追跡、電磁相互作用に関わる物理プロセスを含んでいる。物体の形状として、これまでは、画像診断装置の出力を扱うためにボクセルに限っていたが、より適用例を広げるために様々な形状を扱えるように変更を行い、アプリケーションによっては、計算速度の改善に繋げることができた。原子核相互作用を扱うための拡張パッケージであるMPEXS-hの実装の改善を続け、名古屋陽子線治療センターにおいて、実際の患者データに対する陽子線治療時の線量分布の計算を行う事が出来るようになった。細胞レベルの放射線の影響を見積もるためのソフトウエアであるGeant4-DNAの最新版に追随し、MPEXS-DNAをアップデートし、実装の改善を行うことで計算時間の短縮を図った。MPEXS-DNAをGeant4-DNAと比較した論文をMedical Physics誌に発表した。Geant4-DNA用いIntel XeonプロセッサでG-Valueの計算を行った場合と、TITAN-V GPUで計算を行った場合の比較を行い、結果は誤差の範囲内で一致した。MPEXS-DNAの計算速度は最大で約2900 Xeon コア相当の向上をGeant4-DNAに対して得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
医学物理学の分野では最も評価の高いMedical Physics誌に論文が掲載された。また、計画通り、ソフトウエアの開発が進んでおり、陽子線治療などへの応用も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ソフトウエアの実装をさらに改善し、計算性能の改善を図ると同時に、機能の強化に努める。MPEXS本体に関しては、形状の記述、異なる物質の統一的な扱いを改善し、さらに汎用性の拡張に努める。MPEXS-DNAに関しては、化学過程および生物学的過程の扱いに関する研究を進め、Geant4-DNAを追随するだけではなく、独自の計算手法の開発に挑戦する。ハドロン相互作用に関しては、計算速度の改善が主たる課題であり、実装やアルゴリズムの改善を行うために必要な研究を実施する。応用を希望する問い合わせが企業及び海外の機関を含めて数件あり、条件が整えば共同研究の可能性を追求する。
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