2017 Fiscal Year Annual Research Report
すばるHSC狭帯域深宇宙探査で暴く宇宙再電離:CHORUSプロジェクト
Project/Area Number |
17H01114
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
井上 昭雄 大阪産業大学, デザイン工学部, 准教授 (30411424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋作 一大 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00251405)
柏川 伸成 国立天文台, TMT推進室, 准教授 (00290883)
長尾 透 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (00508450)
矢島 秀伸 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10756357)
岩田 生 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (40399275)
大内 正己 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (40595716)
小野 宜昭 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60631116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宇宙再電離 / 光赤外線天文学 / 銀河形成 / 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam (HSC)に5枚の狭帯域フィルターを搭載した深宇宙撮像観測を実施する予定である。2017年1月から3月までに、5枚のうち、NB973, NB718の2枚のデータ取得が完了していた。その観測データの解析を、分担研究者大内正己のグループを中心として行なった。その過程で、HSC公式解析パイプラインソフトの不具合を発見し、その改善をHSCチームに報告するとともに、パイプラインソフトの改良を促した。NB973データを利用して、赤方偏移7.0のライマンα輝線銀河の光度関数を測定し、国内外の学会で報告した。論文は投稿、査読中である(Itoh et al. 査読中)。また、NB718データを利用した赤方偏移4.9のライマンα輝線銀河の研究も進捗している(Zhang et al. 準備中)。 2017年12月から2018年3月の間に、さらに2枚分、NB387, NB527のデータを取得した。観測条件があまり良くなかったのは残念であるが、新年度にかけてデータ解析を始めている。残り1枚、IB945のデータ取得は2018年12月の予定である。 平行して、宇宙再電離の大規模数値シミュレーションを利用して、ライマンα輝線銀河の理論モデルを構築した。論文を学術雑誌に投稿し、このほど受理された(Inoue et al. 印刷中)。 関連して、銀河間中性水素ガスの分布に関する研究も実施した。赤方偏移3付近の原始銀河団領域では中性水素ガスが一般領域に比べて超過が見られることを報告した(Mawatari et al. 2017, MNRAS)。その他、HSCの広帯域撮像サーベイデータを利用した研究論文が3編出版された。 なお、チーム内での情報共有および議論のための研究会を9月に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は、以前の基盤研究B課題からの継続という位置づけではあるが、新たな4年計画の初年度で、観測データの大半を取得することができている。残り狭帯域フィルター1枚分のデータ取得は今年12月で完了する予定である。しかし、観測条件の悪いデータは今後再取得が必要になるかもしれない。
観測データと比較すべき理論モデルについては、以前からの継続的な研究により完成し、論文出版に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、今年取得したNB387, NB527の撮像データ解析をまず行なう。NB387については、大内正己のグループですでに取り掛かっている。NB527については、本課題で雇用する博士研究員が担当する。平行して、昨年度取得、解析したNB973, NB718のデータを利用した論文を出版する。 狭帯域フィルター4枚分の解析済みデータが揃ったところで、当初予定の(a) 銀河・AGN電離光子放射率、(b) 低光度AGN光度関数、(c) 種族III星団存在量の測定に着手する。初期成果については今年度後半の学会等で発表することができるだろう。 最後の1枚の観測が12月に予定されている。これについては、研究代表者と博士研究員が中心となって実施する。 平行して、理論モデルの改良も進める。観測データ解析の進捗に合わせて、随時、モデルとの比較検討を行なっていく。 チーム内の情報共有と議論のための全体ミーティングを8月に実施する。
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Research Products
(8 results)