2020 Fiscal Year Annual Research Report
New astrophysical researches by future 21cm line observations
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17H01131
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
郡 和範 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50565819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 雅裕 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (50202031)
高橋 龍一 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60413960)
高橋 智 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60432960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 21cm線放射 / 21cm線吸収 / ブラックホール / 超巨大ブラックホール / エディントンの限界光度 / 降着円盤 / アクリーションディスク |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、査読付き論文を7本発表し、外部での講演を14回行った。その中でも、論文 2)の成果は、この研究計画「21cm線観測を用いた新しい宇宙物理学」の研究計画における中心的な成果の1つとなるものである。我々はこの論文において、高い赤方偏移で観測される超巨大ブラックホールの起源となるキーポイントの機構であるエディントン限界降着率を超えるブラックホールへの質量降着率が、宇宙論的21cm線観測によって厳しく制限されることを世界で初めて示した。太陽質量の約数10億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールの形成の起源は天体物理学最大の謎の一つである。宇宙物理学的には、恒星の最期には、おそらく約数100倍の太陽質量程度を上限とする質量の種ブラックホールしか作ることができないと考えられてきた。そして、その種ブラックホールに質量降着することにより質量を増やし、赤方偏移z=7つまり、宇宙年齢約7億6千万年の間に質量を太陽質量の約数10億倍に増やさなければならない。そのためには、作られる降着円盤への質量降着率はエディントンの限界降着率を超える必要があることが知られてる。その場合、放射されるエネルギーが多すぎて、宇宙論的21cm線放射・吸収に影響を与えてしまう。我々はこの論文において、すでに発表されているEDGES実験による、赤方偏移z=17における吸収線の観測結果のデータから、そのような放射の追加的な成分の多くは許されないことを指摘した。そのことから、その種ブラックホールの初期質量は、約100倍の太陽質量程度以下であるという厳しい制限が得られた。この成果は、超巨大ブラックホールの起源に迫る研究だけにとどまらず、そうした高い赤方偏移での宇宙での描像を明らかにした点で世界をリードする成果となった。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
他、新聞報道4件 (合計 9件)
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Research Products
(30 results)