2017 Fiscal Year Annual Research Report
液体アルゴン三次元飛跡検出装置を用いた世界協力による物質優勢宇宙創成の謎への挑戦
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17H01134
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長谷川 琢哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40261549)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液体アルゴン三次元飛跡検出装置 / 物質優勢宇宙創成の謎 / レプトンのCP対称性 / ニュートリノの質量階層性 / 陽子崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質優勢宇宙創成の謎への挑戦を行うため、巨大液体アルゴン三次元飛跡検出装置(LAr-TPC)を用いたDeep Underground Neutrino Experiment (DUNE)が始動した。DUNEでは 1)1,300km以上の長基線、2)水相当3,000m以上の大深度地下に設置される25kt以上のLAr-TPC、3)1MW以上の出力を持 つ大強度陽子加速器により生成される大強度ニュートリノビーム、4)生成直後のニュートリノの素性を把握するための前置測定装置、5)加速器 ビームによる性能実証機能・較正機能を備えた1kt LAr-TPC、を用意し、長基線ニュートリノ研究(レプトンのCP対称性の破れの探索とニュート リノ質量階層性の決定)と陽子崩壊現象探索研究を行う。本研究では、1kt LAr-TPC の実現及び性能実証により、長基線ニュートリノ研究と陽子崩壊探索の信頼性をゆるぎなきものとすることを目的としている。これまでに、1kt LAr-TPC の電離電子信号用エレクトロニクスの試作を行いその最終仕様を決定し、光検出装置が十分な感度を保障することを確認した。そして、電離電子信号読み出し電極、電離電子信号用エレクトロニクス、光検出装置の作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電離電子信号用エレクトロニクスを試作し最終仕様を決定した。具体的には、電離電子信号読み出し電極については、電極パターンを工夫して電極容量を極力小さくすることにより低雑音化を試みた。又、電離電子信号用エレクトロニクスについては、測定装置容量が300pFの場合に2000等価雑音電荷を達成することと、シグナル上限をダブルスロープゲインアジャストによって1000fC程度まで上昇させるための調整作業を行なった。光検出装置については、液体アルゴン温度での動作確認、及び、光電面へのTPB 塗布により、液体アルゴンシンチレーション光に対する十分な感度が保障されることの確認を行なった。そして、電離電子信号読み出し電極、電離電子信号用エレクトロニクス、光検出装置の作成を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
電離電子信号読み出し電極、電離電子信号用エレクトロニクス、光検出装置の必要量の作成と個別性能確認を行い、測定装置組み込み前統合試 験を経た後、順次 1kt LAr-TPC に組み込む。 組み込み後には、1kt LAr-TPC 全体システムの統合試験、宇宙線を使用した動作試験を行う。年 度全般を通して、加速器ビームによる測定装置性能実証に備えて、計算機シミュレーション、実験データ解析環境の開発を行う。
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Research Products
(30 results)