2018 Fiscal Year Annual Research Report
高次に時空間制御した変調熱プラズマ法による高純度ナノ材料の革新的量産技術
Project/Area Number |
17H01256
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 康規 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (90303263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石島 達夫 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 教授 (00324450)
上杉 喜彦 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (90213339)
瀬戸 章文 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (40344155)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱プラズマ / ナノ粒子 / 量産化 |
Outline of Annual Research Achievements |
3. スペクトル観測による変調熱プラズマ状態把握 スペクトル観測による熱プラズマ中Al(Fe), Ti, O,Si励起原子,前駆体TiO,SiH挙動の把握の実験を行った。まず,原料を変調同期投入する状態における熱プラズマに対し一次元分光器によりおもに可視光におけるスペクトル強度の時間変化を測定した。これにより,原料蒸気Al(Fe), Ti, O, Si励起原子, 生成されるTiO, SiH分子挙動を把握した。さらに,その軸方向分布とその変化を測定し,これら粒子の輸送を検討した。これに加えて,原料同期投入する遅延時間を変更し,スペクトル強度への影響を検討した。 4. 変調熱プラズマによるナノ粒子生成試験(原料間歇投入効果,プラズマ変調条件固定) 変調熱プラズマに原料を10-19 g/min 程度で大量投入し,Al-doped TiO2ナノ粒子生成を行った。この際に変調条件を一定(Duty=80%, 変調率70-80%)とし,変調波形は矩形波とした。原料投入で間歇の有無で生成ナノ粒子の特性に相違が出るのかを検討した。生成粒子は,SEM, XRD,TEM/EDX, XPS, BET,分光光度計により粒径分布,組成,結晶性などを分析した。その結果変調度により粒径度数分布が変化することがわかった。さらに結晶,組成,ドープ量,吸光特性,分散性を分析した。同様にして,Siナノ粒子/Siナノワイヤ大量生成予備試験を行った。これによりSiナノ粒子も大量生成できることも判明した。 5.ナノ粒子生成中にDMAを用いたナノ粒子リアルタイムサンプリングを行い,粒径度数分布を算出するとともに,多数あるパラメータの粒径への影響をしらべた。DMAで初めてリアルタイムで生成ナノ粒子の粒径度数分布を測定できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペクトル観測による変調熱プラズマ状態把握は,原料供給時にも測定することが可能であったため,計画通り,熱プラズマ中の特に Ti, O,Si励起原子スペクトル,前駆体TiO,SiHの観測を行えた。これに基づいて原料を変調同期投入する状態における熱プラズマに対し各スペクトル強度の時間変化を時間変化を測定できた。特に2本のTi放射強度を測定できたことによりTiの励起原子の空間分布とその時間変化を測定できることを示せた。さらに,これらの放射強度および励起温度の軸方向分布とその変化を算出することができ,これら粒子の輸送を検討した。原料同期投入する遅延時間を変更した際にも,スペクトル強度が測定できた。また,変調熱プラズマによるナノ粒子生成試験も行うことができた。特に,原料投入で間歇の有と無しの条件で実験でき,これらの結果をひかくするこおで原料間歇導入の効果を検討できた。生成粒子は,SEM, XRD,TEM/EDX, XPS, BET,分光光度計により,粒径度数分布,組成,平均粒径などを分析できた。同様にして,Siナノ粒子/Siナノワイヤ大量生成予備試験を行った。これによりSiナノ粒子も大量生成できることも判明した。 本年度の新しい計画として,ナノ粒子生成中にDMAを用いたナノ粒子リアルタイムサンプリングを行うことができ,さらに,粒径度数分布を測定できることも示すことができた。このことは多数のパラメータが存在する本研究プロジェクトにおいてパラメータ依存性を検討するうえで協力な武器になりうる。 以上のようにほぼ研究計画通りに進んでいることから, 「(2)おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のように研究を計画している: 6.原料間歇供給した変調熱プラズマにおける原子・分子スペクトル二次元観測と原子・ラジカルの輸送現象の把握を行う。熱プラズマに原料粉末を投入すると原料が蒸発し,TiO2ナノ粒子生成の場合,酸素と結合してTiO2の前駆体TiOを気相で生じる。Siナノ粒子生成の場合,前駆体SiHが生じる。これを高感度2次元ICCD+イメージング分光器を用いて分光観測する。これにより特定波長の2次元分光画像観測をトーチ部および各チャンバ位置に対して行い,TiO,SiHの生成タイミング・生成場所とその輸送現象を把握する。またAr,O,H原子スペクトルも測定し,これら励起温度の時間変化とその分布を把握し,ナノ粒子生成,ナノワイヤ生成との関連性を検討する。 7.ナノ粒子生成中にDMAを用いたナノ粒子リアルタイムサンプリングを行い,粒径度数分布を算出するとともに,多数あるパラメータの粒径への影響を把握する。 8. MITP下流へのクエンチングガス変調投入による急冷効果の検討を行う。新型MITPでは原料の変調投入のほか,クエンチングガス投入も変調し,時空間的な制御を行う。プラズマの変調に同期してクエンチングガスを間歇導入する。この手法により,下流部での温度勾配がさらに大きくなり高急冷効果でナノ粒子生成が促進される可能性がある。またガス間歇導入により急冷効果を制御できる。そこで①変調条件,②ガス流量,③ガス導入タイミングなどを様々に変化させて,ナノ粒子・ナノワイヤ生成を行う。 9. 電磁熱流体解析によるチャンバ内温度変化とラジカル輸送の検討を行う。独自開発の解析コードを,Ar-O2(+Ti+Al)熱プラズマ,Ar-H2(+Si)熱プラズマの温度・流速分布を計算するように変更する。これによりクエンチングガス導入時,変調熱プラズマトーチ+チャンバ内の温度 場・流速場を計算する。
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