2017 Fiscal Year Annual Research Report
新しいイメージング技術による神経伝達物質受容体の多様性の理解
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17H01378
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷本 拓 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70714955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 周 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (90408401)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
一つの神経伝達物質には機能の異なる複数の受容体が存在する。個々の受容体の分子生理学的特性については、詳細な解析がされてきた。しかし、生体内において一つの伝達物質が複数の受容体を持つ生物学的意義は十分に理解されていない。研究代表者らの研究グループによるこれまでの研究から、ショウジョウバエのドーパミン入力は、コンテクストにより「異なる情報」として細胞に受容されることが明らかになっている。本研究では、内在性のドーパミン受容体の分布と活性化をイメージングすることで、受容体の組み合わせが伝達物質の作用の違いを生むメカニズムを明らかにする。 2017年度は、ドーパミン受容体遺伝子を発現する細胞を特異的に標識・操作するため、CRISPR/Cas9を用いて部位特異的DNA挿入を行った。ノックイン後に生体内において任意の遺伝子との入れ替えを可能にする「交換可能ベクター」を挿入することで、GAL4やGFPなどの任意の遺伝子を内在性受容体遺伝子の一部として発現させることができる。この手法を全てのドーパミン受容体に適用し、2A-GAL4遺伝子をノックインしたトランスジェニック系統を作出した。また、大規模脳イメージングに向けて、多数の脳のスキャンを自動一括で行うための標本包埋技術や画像取得システムの確立など、組織染色の高速処理化を試みた。さらに、脳レジストレーションのパイプライン構築を目指して、ソフトウェアの開発および自動化に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三次元脳画像データ自動処理システムの開発の過程で、想定以上に処理時間を要したり、細胞の検出が不正確であるなどの技術的な困難が生じた。本研究では膨大な数の脳画像を処理する都合上、高効率かつ高精度なシステムの確立が必要不可欠である。このため、プログラムや標本包埋手法を一から再検討する必要が生じ、計画に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に作成したGAL4系統で細胞内局在するマーカー遺伝子を発現させ、脳内における各受容体遺伝子を発現する細胞の分布を可視化する。さらに、各ドーパミン受容細胞の脳内分布を標準脳座標系に網羅的にマップしたデータベースを作成する。この同一座標系に表現された顕微鏡データを主成分分析やクラスター解析などの多次元数理解析を用いて分析する。
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