2017 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の生殖腺の性的2型の維持と破綻の分子基盤の解明
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17H01501
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30260326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九郎丸 正道 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00148636)
高瀬 比菜子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, テニュアトラック助教 (40754528)
平手 良和 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 講師 (70342839)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 支持細胞 / 性的2型 / heterogeneity / 性転換 / 卵精巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、マウスの分化後の胎子精巣・卵巣において、性ホルモン刺激の有無により正常な野生型の個体の支持細胞においても性的2型の維持に破綻が生じ、卵精巣化が誘導される実験系を樹立した。胎子卵巣では雄性ホルモン刺激により、髄質領域からセルトリ様細胞を含む精巣様組織が誘導され、一方、セルトリ細胞が作る雄性環境を除去すると、胎子精巣から卵巣が再誘導される。初年度は、移植卵巣の雄性環境による性転換について、ホスト側の性ホルモンの影響について検討した。去勢雄、雌ヌードマウスにTestosterone, DHT処理を施し、移植卵巣での雄性化に対するホスト側の性ホルモンの影響を検討した。その結果、T, DHT 処理により去勢雄、雌ヌードマウスともに移植卵巣の雄性化が進行し、雌ヌードマウスにおいてもT, DHT 処理によりSOX9陽性セルトリ細胞の出現することが判明した。この結果から、Testosteroneが移植卵巣の雄性化を誘導していることが判明した。さらに、移植卵巣組織におけるARの発現を検討した結果、退行中の卵胞上皮、精細管様構造の支持細胞に発現しており、ARの下流遺伝子Ube2, B4gaint1, Tubb3の発現が雄ヌードマウスにおいて上昇していることが判明した。一方、SOX8, AMH欠損胎子の移植卵巣において、卵胞退行は野生型と比べ抑制されるが、SOX9陽性セルトリ細胞の出現したため、本性転換には移植卵巣側のSOX8, AMH活性が必須でないことが遺伝学的に証明された。また、胎子精巣のセルトリ細胞除去による卵巣化については、AMH-TRECK系統の Tg と同腹のWt のXY胎子精巣を用いて、DT 処理後12 時間目(セルトリ細胞除去)の培養群と卵巣形成が誘導される 4 日目の培養群でのRAN発現変化についてマイクロアレイ解析を行った(雌特異的な938 個の遺伝子を同定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移植卵巣の性転換誘導の原因が、Testosteroneであること、AMH, SOX8は必須でないことが証明できた。また、セルトリ細胞が作る雄性環境による胎子精巣から卵巣への性転換には、網羅的なRNA解析を行い、候補遺伝子群が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎子卵巣でのheterogeneityを解析するため、胎子卵巣の皮質領域と髄質領域を2つに分離し、各々Single Cell化を行い、single cell RNA seq解析を開始する。
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