2017 Fiscal Year Annual Research Report
大規模コホートの疾病横断的ゲノム解析に基づく個別化予防に資するエビデンスの構築
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17H01557
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
津金 昌一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 社会と健康研究センター長 (40179982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
小久保 喜弘 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20393217)
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
岩崎 基 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (60392338)
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コホート研究 / 循環器疾患 / ゲノム解析 / 交互作用 / 発祥予測法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多目的コホート研究(JPHC study)において既に収集されている試料・情報を用いて、がん、循環器疾患などの多くの国民が罹患する疾患に関して、遺伝要因、環境要因を合わせた疾患発症との関連を解明し、疾患発症予測法の確立を目的としている。 平成29年度には、JPHC studyのベースライン調査時にアンケート回答・血液試料を提供した者のうち、追跡期間中に心筋梗塞・脳卒中などの循環器疾患に罹患した症例のうちゲノム網羅的SNPタイピング情報を有さない約700例のDNA精製・濃度調整を行い、ゲノム網羅的SNPタイピングを実施した。さらに、JPHC studyの5年後調査時にアンケート回答・血液試料を提供した者のうち、追跡期間中に心筋梗塞・脳卒中などの循環器疾患に罹患した症例のうちゲノム網羅的SNPタイピング情報を有さない症例のDNA精製・濃度調整を行い、ゲノム網羅的SNPタイピングのための前処理を行った。これらのタイピングを通して、①約1200人の循環器罹患症例と約13000人のサブコホート症例の開発用サンプル、②約400人の循環器罹患症例と約4000人のサブコホート症例の検証用サンプルで、ケースコホートデザインで循環器疾患の関連解析を実施する体制が整う。同様に、平成30年度中には、別途獲得した研究費を用いて、がん、糖尿病についても、開発用・検証用のデータセットが整う見込みである。 網羅的な遺伝環境交互作用の解析として、既存のゲノム公開データベースを用いて、糖尿病をアウトカムとして解析を実施し、複数個の遺伝子多型が生活習慣などの環境要因との交互作用を呈する可能性が示唆され、平成30年度にJPHC studyの集団で検証予定である。 さらに、GWASで同定された既知の疾患感受性遺伝子多型に関する情報収集を行い、メンデリアン・ランダマイゼーション法の方法論の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画は、開発用研究集団の循環器疾患症例のゲノム網羅的SNPタイピングを実施し、下記の個別課題①、②、③の検討を開始することである。 ①GWASで同定された既知の疾患感受性遺伝子多型に関する日本人集団での検証 ②候補遺伝子アプローチに加え、網羅的解析による新規の遺伝環境交互作用の同定 ③遺伝子多型を操作変数としたメンデリアン・ランダマイゼーション法により、未知・未観察の交絡要因の影響を最小化し、潜在的なリスク要因の因果関係評価を行う 平成29年度は予定通り、開発用集団のゲノム網羅的タイピングを実施し、上記の①、②、③の検討を予定通り進めているため、概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画は、平成29年度に引き続き、次の5つの課題について取り組む。 個別課題は、①GWASで同定された既知の疾患感受性遺伝子多型に関する日本人集団での検証、②候補遺伝子アプローチに加え、網羅的解析による新規の遺伝環境交互作用の同定、③遺伝子多型を操作変数としたメンデリアン・ランダマイゼーション法により、未知・未観察の交絡要因の影響を最小化し、潜在的なリスク要因の因果関係を評価、④既存の生活習慣要因を中心とするモデルにGenetic risk score などのゲノム情報の導入、遺伝環境交互作用の導入、血漿バイオマーカー等の情報の導入などにより、予測能のより高いモデルの構築と検証、⑤がんの腫瘍部位別、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、心筋梗塞疾患など疾患別の予測モデルを統合し、疾患横断的なリスク予測確率の提示の5つである。 平成30年度は、個別課題①、②、③の検討を継続し、得られた成果を論文化する。検証用研究集団の循環器疾患約400 例のゲノム網羅的SNP タイピングを実施する。個別課題④の検討を開始する計画である。
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[Journal Article] Genome-wide association study identifies 112 new loci for body mass index in the Japanese population2017
Author(s)
Akiyama M, Okada Y, Kanai M, Takahashi A, Momozawa Y, Ikeda M, Iwata N, Ikegawa S, Hirata M, Matsuda K, Iwasaki M, Yamaji T, Sawada N, Hachiya T, Tanno K, Shimizu A, Hozawa A, Minegishi N, Tsugane S, Yamamoto M, Kubo M, Kamatani Y.
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Journal Title
Nature Genetics
Volume: 49
Pages: 1458~1467
DOI
Peer Reviewed