2019 Fiscal Year Annual Research Report
Plant genetic resources and related traditional knowledge in semi-autonomous ethnic minority areas with political and geographic isolation
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17H01682
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邉 和男 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90291806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河瀬 眞琴 東京農業大学, 農学部, 教授 (00192550)
内山 愉太 名古屋大学, 環境学研究科, 特任講師 (00710766)
山崎 福容 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 遺伝資源センター, 研究員 (00793514)
松井 健一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50505443)
香坂 玲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50509338)
Matthews Peter 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 教授 (70281590)
山本 伸一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (70370690)
西川 芳昭 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80290641)
入江 憲治 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (90408659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 農業食料 / 遺伝資源 / 民俗学 / 社会調査 / データベース / 少数民族 / 山間地 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに検討した新規評価要素を、遺伝資源探索調査の追加指標として、フィールド調査票に盛り込み、試用した。 現地調査: ミャンマーを中心にフィールド調査を継続した。 i)別課題で10年前に訪問できたカチン州北部と南部について、現地の変化を農村部及び地域の市場で調査した。希少な在来種が存在はしているが、野生イネなどで減少はかなり進行していた。在来の葉物野菜やショウガ科野生種(Rhynchanthus属)などで減少が著しかった。ii)豪雨災害と民族運動で、入境が制限あるSagaing Region北部のNanyun郡について、Donhee村への地元政府の入境許可が突発的に降りたので、2020年2月に現地調査を行った。生活習慣やそれに基づく作物の栽培や異なる種の利用について、新規性の高い情報が得られた。インド国境に近い最大関心地のNanyun郡Nanyun町は、許可は降りなかったので、次年度につなげるために、大統領府等の許可を得るように手配をはじめた。iii)作物遺伝資源の移動状況を把握するため、ミャンマー東部国境に接するタイ山間の農村部について、Maesai地区及びMae Sot地区についても、それぞれタイ側からの越境及びミャンマー側からの越境を行い、市場や流通の調査を行った。他、比較としてネパールや日本の事情を研究分担者が他予算も活用し、調査した。 本科研課題での収集画像、文献や調査情報の電子化を継続した。 収集した遺伝資源は、一部はNRAO遺伝資源センターに分譲し、主体は研究分担者と増殖・評価を行なった。特に、ウリ科野生種について、収集物の栽培及び増殖を試みた。発芽率が低く限られた発芽個体しか得られなかった。雌雄異株あるいは雌雄異花であるため、種子の確保は困難であることがわかった。ショウガ科は、代謝物質の評価を一部行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での調査について、天災や現地の政治及び治安事情を勘案し、行動計画の必要ある。調査地の状況は流動的であるが、概ね目的の調査地を訪問でき、研究によって得られた調査手法の現地での試行や評価が十分に実施できたと考えられる。 データベースの構築とコンテンツの随時強化も進んできている。 論文等も分担者が、協力し、出版されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題終了までに必須とされる未踏調査地域の実施可能性を現地機関と調整し, 現地主務省や現地の公的地権者等との内諾を年度早々に得る. COVID-19の懸案はあるが, 研究代表者と河瀬で, 未踏地域の調査を行い, これまでの研究成果としての情報集積の方策の試行確認を行いつつ, 未知の情報の収集に努める. また, 2020年11月にミャンマーでの国政選挙があるため, この時期前後は避ける必要がある. 2021年1月を目標として, 未踏地域のミャンマー最北部インド国境のSagaing地方域のNanyun県方面を調査する. このための準備での現地訪問を8月あるいは9月に行う. 入境が容易でなかったKayah州東部及び南部も, 補足的に調査する. 紛争帯漸近地帯である政治的・地理的に隔離された山岳地・照葉樹林・少数民族地帯と相関の高い国境を越えた独自性高い民族活動のある地帯にて主体調査する. 個別サブグループとして, 文献調査, フィールド調査及び情報の検証の研究グループを形成し,連係研究者と海外共同研究者の協力を得る. 1)在来作物種の遺伝的多様性評価及び分類:2)言語や文化観点からの遺伝資源利用評価:3)社会経済的観点からの種や品種の利用と農民の権利研究:4)民族・少数民族権利・人類学的研究:5) 政治及び社会動態との関連の評価:6) 総合的な情報化となる. 治安事情は変動するので, 現地協力機関と緊密に連絡を取り, 国際機関等の勧告を得て, 常に安全を確保し, 現地調査を実施する. 1)-6)のサブグループ横断型の調査チームの構成を検討する. これまでに収集した遺伝資源の整理を, 栽培,増殖及び分類評価等を行う. このために, 補助員を雇用する. 最終の集会を年度末に実施する.
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