2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of atmospheric resuspension of radiocesium released by Fukushima Dai'ichi Nuclear Power Plant accident and its circulation between atmosphere and vegetation
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17H01873
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北 和之 茨城大学, 理学部, 教授 (30221914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
反町 篤行 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (60466050)
石塚 正秀 香川大学, 工学部, 准教授 (50324992)
森野 悠 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (50462495)
古川 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 大気再飛散 / バイオエアロゾル / 真菌類 / 放出フラックス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、以下の研究活動をほぼ予定通り実施した。 1.夏季の大気中への放射性セシウム再飛散に占める森林からの真菌類胞子飛散の寄与を推定するため、1)福島県高線量地区内で採取したキノコ胞子の1個当たりの放射性セシウム濃度、2)大気中の真菌類胞子と推定される粒子濃度を測定し、その積から推定した真菌類胞子による大気放射能濃度と実際に観測された濃度を比較することで、中央値で大気放射能の75%が真菌類胞子で説明できることを明らかにすることができ、現在論文にまとめている。 2.キノコ胞子に含まれる放射性セシウムの水溶性が、夏季の大気粒子中の放射性セシウムの水溶性と同程度であるか調べ、この季節の大気再飛散の担体が主に真菌類胞子であるという推定結果と矛盾しないかしらべ確認した。胞子および大気サンプルの抽出実験の結果、いずれも放射性セシウムの50-75%が水溶性であり、真菌類胞子が夏季の大気放射性セシウム再飛散単体として矛盾しないことも確認できた。根に共生する真菌類の有無が植物への放射性セシウム取込みに影響しないか、アカマツについて試験的なサンプリングを行ったが明確な違いは見られなかった。これは、限られた観察機会にキノコ発生が見られなかった個体にも、本当に菌類の共生がなかったか明確でないためであると考えられる。 3.キノコから大気に胞子が飛散するプロセスを明確にするため、高速度カメラでシイタケから胞子が飛散していく様子の撮影を実施した。現在、画像解析により胞子の大気放出を定量化する方法を検討している。 4.胞子などバイオエアロゾルと放射性セシウムの森林からの鉛直輸送フラックスを測定するための緩和渦集積サンプリングシステムを作成し、テストフィールドである筑波実験植物園に設置し、動作確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の4つのアプローチについて以下のように進捗状況を自己評価する。 1)高放射線量域での大気エアロゾル及び降水のサンプリングを行い、含まれる粒子の化学・生物学的成分と放射性セシウムの濃度間の相関を調べ、大気再飛散担体となる有機・生物粒子の同定を行うとともに、それらの粒子及び土壌ダストの大気再飛散への寄与の定量化を行う:平成29年度は、福島県高線量地区内で採取したキノコ胞子の1個当たりの放射性セシウム濃度と大気中の真菌類胞子と推定される粒子濃度を測定し、大気放射能濃度に占める真菌類胞子を担体とするプロセスが中央値で75%の寄与をしていることを明らかにできた。 2)緩和渦集積法測定装置を開発し、放射性セシウム飛散フラックスとその変化を定量化する:平成29年度においては、緩和渦集積法フラックス測定装置を開発し、動作試験により正常に動作することが確認できた。30年度に実際の観測を予定通り実施する。また別のアプローチとして、高速度カメラ等でキノコから胞子の大気飛散していく様子を撮影し、放出フラックスを推定する方法も試みることにしており、現在、実験室内での撮影を行っており、画像解析により定量化する方法を検討中である。 3)大気エアロゾル試料抽出液による植物培養実験による、放射性セシウム大気-植生循環の解明:キノコ胞子中の放射性セシウムが夏季大気サンプルと同等の水溶性を示すことが確認できた。1年を通しての大気放射性セシウム抽出液による植物培養実験は平成30年度に実施する。 4)大気再飛散過程を取り入れた化学輸送モデルの構築による大気放射性セシウムの移行量の推定:この項目については、アプローチ2によるフラックス推定結果をもとにモデル化することになっており、予定通り平成30年度からスタートする。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の4つのアプローチについて、今後以下のように推進していく。 1)高放射線量域での大気エアロゾル及び降水のサンプリングを行い、含まれる粒子の化学・生物学的成分と放射性セシウムの濃度間の相関を調べ、大気再飛散担体となる有機・生物粒子の同定を行うとともに、それらの粒子及び土壌ダストの大気再飛散への寄与の定量化を行う:平成30年度は、キノコ(担子菌)胞子だけでなく、カビ(子嚢菌)分生子や細菌類など他の種類のバイオエアロゾルについても、分離する手法を開発し、個々に寄与を推定していく。特に、キノコ発生がまだ少ない春季における放射性セシウム飛散にかかわる各プロセスの寄与を、強化サンプリングによりを実施し推定していく。 2)緩和渦集積法測定装置を開発し、放射性セシウム飛散フラックスとその変化を定量化する:平成29年度に開発した緩和渦集積法フラックス測定装置を用い、何回かの集中観測を実施し、バイオエアロゾルの放出フラックスの定量化を行うとともに、放射性セシウムフラックス推定に拡張する。また集中観測以外の機関については、経度法による推定も併用する。高速度カメラ等でキノコからの胞子の大気飛散を撮影し、放出フラックスを推定する手法についても、画像解析により定量化する手法を確立し、フィールドでの撮影も試みる。 3)大気エアロゾル試料抽出液による植物培養実験による、放射性セシウム大気-植生循環の解明:1年を通しての大気粒子サンプルの純水抽出液およびキノコ胞子抽出液による植物培養実験を実施し、大気から植物への放射性セシウム移行可能性を明確にする。 4)大気再飛散過程を取り入れた化学輸送モデルの構築による大気放射性セシウムの移行量の推定:アプローチ2によるフラックス推定結果をもとに、気象要素などとの関係を調べ、大気再飛散フラックスをモデル化するためのパラメタリゼーションを考案し、モデルに試験的に組み込む。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] The seasonal variations of atmospheric 134,137Cs activity and possible host particles for their resuspension in the contaminated areas of Tsushima and Yamakiya, Fukushima, Japan2018
Author(s)
Kinase T., K. Kita., Y. Igarashi, K. Adachi; K. Ninomiya, A. Shinohara, H. Okochi, H. Ogata, M. Ishizuka, S. Toyoda, K. Yamada, N. Yoshida, Y. Zaizen, M. Mikami, H. Demizu, and Y. Onda
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Journal Title
Progress in Earth and Planetary Science
Volume: 5
Pages: 5:12
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Model depiction of the atmospheric flows of radioactive cesium emitted from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident2017
Author(s)
Nakajima T., Misawa S., Morino Y., Tsuruta H., Goto D., Uchida J., Takemura T., Ohara T., Oura Y., Ebihara M., Satoh M
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Journal Title
Progress in Earth and Planetary Science
Volume: 4
Pages: 4:02
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Anthropogenic dust emissions due to livestock trampling in a Mongolian temperate grassland2017
Author(s)
Munkhtsetseg, E., Shinoda, M., Ishizuka, M., Mikami, M., Kimura, R., and Nikolich, G.
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Journal Title
Atmos. Chem. Phys
Volume: 17
Pages: 11389~11401
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Caesium uptake by rice roots largely depends upon a single gene, HAK1, which encodes a potassium transporter2017
Author(s)
H.Rai, S.Yokoyama, N.Satoh-Nagasawa, J.Furukawa, T.Nomi, Y.Ito, S.Fujimura, H.Takahashi, R.Suzuki, E.Yousra, A.Goto, S.Fuji, S.Nakamura, T.Shinano, N.Nagasawa, H.Wabiko and H.Hattori
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 58
Pages: 1486~1493
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Aerosol Emission from Forest by Precipitation: New Perspective for Atmosphere-Forest Interaction2018
Author(s)
Yasuhito Igarashi, Naho Hayashi, Kazuyuki Kita, Teruya Maki, Yasunori Saito, Hiroshi Okochi, Kentaro Hosaka, Kouichi Shiraishi, Takayuki Tomida, Kouji Adachi, Yuji Zaizen, Masahide Ishizuka, Atsuyuki Sorimachi
Organizer
第11回大気バイオエアロゾルシンポジウム
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[Presentation] Bioaerosols sampled in Fukushima mountainous region and contribution to the radio-cesium resuspension2017
Author(s)
K. Kita, N. Hayashi, K. Minami, M. Kimura, Y. Igarashi, K. Adachi, T. Maki, M. Ishiduka H. Ohkochi, J. Furukawa, K. Ninomiya, and A. Shinohara
Organizer
2017 Symposium on atmospheric chemistry and physics at mountain sites (ACPM2017)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Temperate forest as big bioaerosol sources?: Implication from atmospheric Fukushima radiocesium studies2017
Author(s)
Y. Igarashi, K. Kita, T. Maki, T. Kinase, N. Hayashi, K. Adachi, C. Takenaka, M. Kajino, M. Ishizuka, T. T. Sekiyama, Y. Zaizen, K. Ninomiya, H. Okochi, A. Sorimachi
Organizer
2017 Symposium on atmospheric chemistry and physics at mountain sites (ACPM2017)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Atmospheric re-suspension mechanism of radio-cesium - possibility of circulation between atmosphere and biosphere2017
Author(s)
K.Kita, N.Hayashi, K.Minami, Y.Igarashi, K.Adachi, T.Maki, M.Ishiduka, H.Ohkochi, J.Furukawa, K.Ninomiya,and A.Shinohara
Organizer
2nd International Symposium of Quantum Beam Science at Ibaraki University
Int'l Joint Research
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[Presentation] 大気モデル相互比較に基づく福島原発事故起源の137Csの動態解析2017
Author(s)
森野悠, 北山響, 滝川雅之, 中島映至, 速水洋, 永井晴康, 寺田宏明, 斉藤和雄, 新堀敏基, 梶野瑞王, 関山剛, Damien Didier, Anne Mathieu, 大原利眞, 鶴田治雄, 海老原充, 大浦泰嗣, 柴田徳思
Organizer
日本気象学会2017年度春季大会
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