2020 Fiscal Year Annual Research Report
粒状有機物中生体分子の化学組成分析を基軸にした気候変動下の内湾生態系モニタリング
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17H01885
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂巻 隆史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60542074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 真也 琉球大学, 工学部, 准教授 (00390568)
野村 宗弘 東北大学, 工学研究科, 助教 (70359537)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内湾一次生産 / 脂肪酸組成 / 河川影響 / N/P比 / 海洋物理環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
①H29年度に志津川湾湾奥部に設置した機器により環境変動および一次生産者応答を継続して観測を行った.一連のデータの解析から,同湾の植物プランクトン濃度は年間を通し通常低く維持されているが降雨に伴う塩分低下や風向により,数日程度の短い時間で一次生産が上昇・低下することが示された. ②河川水をはじめとした湾外起源水混合への志津川湾内一次生産者の応答を,脂肪酸組成分析を交えて実験的に検討した.その結果,同湾の一次生産はわずかな栄養塩供給にも非常に鋭敏に応答するとともに,N/Pの上昇が消費者生物にとって栄養価の高い多価不飽和脂肪酸の生産と脂肪酸の多様性を有意に低下させることが示された.これらの結果は,人為的窒素負荷増大による環境中N/Pの上昇が,一次生産される脂肪酸組成の変化を介し消費者生物の餌料環境低下につながる可能性を示唆する.さらに,粒状有機物の脂肪酸組成が栄養塩供給の変化に対する一次生産者群集組成の応答についての有用な指標になることを示唆する. ③志津川湾内で有機物の沈降過程における化学組成と酸素消費活性の変化を調査した.その結果,沈降有機物は,浮遊性有機物に比べて炭素安定同位体比が高く,EPAを比較的多く含むことから,比較的大きな細胞径の珪藻に由来する有機物が選択的に沈降していることが示唆された.また,沈降有機物の酸素消費活性は,藻類と細菌に由来する脂肪酸含有量とそれぞれ正の関係を有し,底層で顕著に低下していた.これらは,有機物が沈降過程で酸素を消費し,底層に拡散される溶存酸素を顕著に低下させている可能性を示す. ④海洋環境の長期再解析データセット(JCOPE)を利用し,例年同時期の海水温の比較から異常を検出するためのハイパスフィルターを適用したアルゴリズムを開発した.「異常」の定義・判定に関わる比較対象期間の設定方法や閾値の処理方法に関しては,今後もさらに精査が必要である.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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