2018 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on assessment of environmental radiation runoff in dam and lake ecosystemms
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17H01889
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野原 精一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (60180767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千賀 有希子 東邦大学, 理学部, 准教授 (30434210)
渡辺 峻 群馬県水産試験場, 水産環境係, 技師 (30739024)
横塚 哲也 栃木県水産試験場, 水産研究部, 研究員 (40605482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 湖沼底質 / 高層湿原 / 移動メカニズム / 溶存有機物 / 不攪乱コアサンプル |
Outline of Annual Research Achievements |
移動メカニズムの解明 群馬県の12湖沼、福島県の14湖沼、栃木県の5湖沼(合計31湖沼)について、不攪乱コアサンプラーで採取した底泥コアのうち代表的なコアについて、表層から4cm毎に切り分けビニル袋に分けてセラミックカップ(Daiki製)で間隙水を分離し、固相と液相における放射性Csを分析した。底泥や泥炭底質の中を溶存して放射性Csが嫌気的状態で下方に移動するかどうかイメージングプレートを用いて実験的に解明した。また、間隙水中の溶存陽イオン(ICP分析)、溶存有機物量(島津TOC計)、アンモニア量(オートアナライザー)、有機酸量(イオンクロマト)を分析した。代表的なコアについて、乾重/生重比や有機物量から火山灰の有無を判定して、火山灰の含まれる層については年代分析を行い堆積速度を明らかにした。 尾瀬ヶ原池溏や泥炭地の底質に含まれる溶存有機物は鉄酸化・還元細菌の主なエネルギー源である。その溶存有機物(DOM)や多く含まれるアンモニアによって放射性Csの溶出は起こりうると推定される。そこでDOMの成分を励起波長および蛍光波長での蛍光強度を測定できる三次元励起蛍光スペクトル(EEM)法で、複雑な混合物中に存在する蛍光性DOMの分析を行った。EEM法は蛍光特性を持つ物質のみを検出し様々なDOMが混在する環境水のような試料でDOMが同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
洪水による影響をみるため、尾瀬ヶ原中田代(非洪水地域)と上田代(洪水地域)の湿原コアサンプルを比較したところ明らかに洪水地域で放射性セシウムが増加していた。流域からの再移動によるものと考えられ、予想どおりの結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
春の融雪洪水による流域からの放射性セシウムの移動について電磁流速計、水温計、インターバルカメラ等と駆使して再移動についてより詳細な現地調査を実施する。また、新たに簡易的な地下水流向流速計を応用して平水時の地下水の流動について定量的な研究を追加する。 洪水に焦点を絞って、尾瀬ヶ原に池溏の堆積物における不攪乱コアサンプルを採取して、放射性セシウムの初期フォールアウトと二次的な移動について明らかにする。
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