2018 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災により海洋環境に放出された残留性有機汚染物質の動態解明と影響評価
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17H01890
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
高澤 嘉一 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (40391122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒巻 能史 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (00354994)
家田 曜世 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 研究員 (40761078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 投げ込み式の大量海水ろ過装置 / 残留性有機汚染物質 / 鉛直分布 / 三陸沖 / ターゲット分析 / ノンターゲット分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災によって陸域から海洋環境に放出された物質は放射性物質だけではなく、例えば栄養塩や我々の日常生活・産業活動で使用された多種多様な人為起源の化学物質もあわせて放出されたと推測される。本研究では、投げ込み式の大量海水ろ過装置を開発し、仙台湾を含む関東地方から東北地方に及ぶ太平洋沿岸を対象に本装置を用いて残留性有機汚染物質を網羅的に捕集し、その鉛直分布を明らかにすることで、東北地方の水産業復興への貢献を図るものである。今年度は、当初予定していた仙台湾での観測調査が観測船の航路変更に伴い、次年度に急遽延期となったことから、昨年度に引き続き投げ込み式の大量海水ろ過装置による疑似有機汚染物質の添加回収試験と破過試験を実施し、試料捕集条件の最適化について検討するとともに、装置ブランクについて追試を行った。また、前年度に得られた仙台湾におけるノンターゲット分析の二次元クロマトグラムについて、マニュアル解析と自作の自動データ解析ソフトウェアを併用することで塩素および臭素を含有する化合物の詳細なデータ解析を実施し、特に塩素と臭素を含む有機汚染物質の鉛直プロファイルをまとめるとともに、得られた成果を学会にて報告した。さらに流動モデルへのデータインプットのために、仙台湾周辺の自治体について化学物質の蓄積状況を調査するとともに、一部の自治体については聞き取り調査を実施した。次年度はこれらの情報にあわせて海水等の流動機構の考察を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた仙台湾での観測が、観測船の航路変更に伴い次年度に延期となった。そのため、当該海域における化学物質の濃度推算やストックパイルの調査など最終年度に予定していた内容を一部入れ替えることで対応した。最終年度の仙台湾での調査については、すでに契約を終え実施が確定していることから、鉛直プロファイルデータの入手は問題ない。実施内容の入れ替えはあったが、計画は概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ノンターゲット分析結果のデータ解析は、自動解析とマニュアル解析を併用して進めているが、時間を要する作業であることから、今後もデータ解析は続ける予定である。現状、研究計画の大きな変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。
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Research Products
(2 results)