2017 Fiscal Year Annual Research Report
The role of mini-publics in global and ultra long-term risk governance
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17H01927
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 絵香 大阪大学, COデザインセンター, 准教授 (30420425)
江守 正多 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (80300846)
田村 哲樹 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30313985)
松浦 正浩 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (70456101)
池辺 靖 国立研究開発法人科学技術振興機構, 日本科学未来館, 科学コミュニケーション専門主任 (50791828)
工藤 充 大阪大学, COデザインセンター, 特任助教(常勤) (10775886)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合意形成 / 市民参加 / 科学技術社会論 / 熟議民主主義論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,無作為抽出などによって社会の縮図をつくり,そこでの議論の結果を政策決定などに活用する「ミニ・パブリックス」の方法が,地球規模かつ超長期の複合リスクのガバナンスにおいて果たしうる役割について考察することである。「気候変動」と「高レベル放射性廃棄物の処分」という2つのテーマをとりあげ,この種の問題に対処するうえでミニ・パブリックス型の市民参加がいかなる可能性や課題を有しているかを明らかにする。 初年度である平成29年度は研究会を3回開催した。第1回研究会では,研究の枠組みについて改めて議論し,(1)科学技術社会論と熟議民主主義論を基盤とした理論研究,(2)事例研究や社会実験による実証研究,(3)「政策提言としてのミニ・パブリックス運用ガイドライン(仮)」の作成という柱を確認し,主要な論点,キーワードを抽出した。第2回研究会では,気候変動や高レベル放射性廃棄物処分の問題状況と市民参加による議論の可能性を,既存のミニ・パブリックスの実践事例も参照しつつ,実践・理論の両面から検討した。第3回研究会では,高レベル放射性廃棄物の処分問題を含む原子力・エネルギー政策の状況と市民参加の課題に関する報告や,フューチャーデザインについての報告を受け,議論した。 研究会と並行して,各自が,関連する研究成果の発表を学術雑誌や学会等で行いつつ,国内外で訪問調査等を進めた。外国での訪問調査(米国,豪州等)では,実践家や研究者へのヒアリング等を通じて,地球規模課題についての市民参加の事例収集を行うとともに,ミニ・パブリックスにおける熟議と利害調整による合意形成の関係や,責任ある研究・イノベーション(RRI)の動向などのテーマについて情報収集を行った。また,翌年度に実施予定の社会実験の企画を進め,英国の研究協力者を訪問して将来的な国際比較研究の可能性についても議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り3回の研究会を開き,参加メンバー間での議論を通じて研究の枠組みを明確にするとともに,過去の主要な事例についての検討や,気候変動問題や高レベル放射性廃棄物の処分問題といった具体的テーマの最新の状況に即して,ミニ・パブリックスを用いた市民参加の意義や課題について議論を深めることができた。各メンバーによる国内外での訪問調査や,関連する研究発表等も多数実施した。以上の取り組みをふまえて,翌年度実施予定のミニ・パブリックスの社会実験の企画にも着手した。こうしたことから,研究は全体として順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も(1)科学技術社会論と熟議民主主義論を基盤とした理論研究,(2)事例研究や社会実験による実証研究,(3)政策提言としての「ミニ・パブリックス運用ガイドライン(仮)」の作成,という3つの柱で研究を行う。各研究メンバーが,引き続きそれぞれの理論研究,実証研究等を進め,年に2,3回程度開催する研究会で議論するという方法で研究を進めていく。 2年度目にあたる平成30年度は,今年度の理論的検討や事例研究等をふまえて,気候変動問題をテーマとしたミニ・パブリックスの社会実験を実施する予定である。 最終年度となる平成31年度には,この社会実験の結果も用いつつ,地球規模かつ超長期の複合リスクのガバナンスにおけるミニ・パブリックスの活用方法に関する実践的指針(ガイドライン)を検討するとともに,研究全体の成果をとりまとめ,雑誌論文や学会の企画セッション等において発表する。
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Research Products
(13 results)