2017 Fiscal Year Annual Research Report
3種の直接法と間接法による衣服圧測定法の一元化と新センサ開発
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17H01954
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三野 たまき 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00192360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
森島 美佳 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50369518)
中山 昇 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80336445)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衣服圧測定 / リニアライジング法 / 液圧平衡法 / 接触圧測定法 / 圧較正 / 曲率半径 / 導伝性樹脂 / ホールガーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者がRMIT大学(豪)で衣服圧の共同研究をした関係上,昨年度は担当者ごとに研究を進めた.研究Ⅰの直接法の較正では較正器の製作に時間を費やした.液圧平衡法の較正はほぼ終了したが,他の2直接法では未完である.研究Ⅲで使用する糸繊度と撚り係数を揃えた糸を使ってゲージ数,編み構造を変化させたホールガーメントを作製した.プラスチック円筒,硬度の異なるシリコンゴムも作製した【担当三野】. 研究Ⅱは新センサ開発のための高感度導電性樹脂を合成し,荷重測定センサーを開発した.PP20wt%VGCFは,0~10Nで高感度となった【担当中山】. 市販繊維製品とヒト表面の密着性について,液圧平衡法とデンタルプローブを用いて検討した.3種の衛生マスクとヘッドマネキンを用い,マスク着用時の被服圧を測定した.口当てシートに多数の穴を開け,マネキン顔面とシート表面間の距離をデンタルプローブで測定した.密着性を被服圧と距離から検討したところ,被服圧が大きい程,表面間距離が短かった.顔面とシート表面間距離との間に有意な相関関係が3種のマスク共に認められた【担当森島,研究Ⅰの応用】. 被験者(成人女子6名)に市販のタイツ(スタンダード1種,着圧2種)を着用させ,リニアライジング法と接触圧測定法との計測方法による衣服圧の違いを検討した.被服圧(接触圧測定法),試料着用時の伸びひずみ,測定部位(左下腿後面と大腿前面)の曲率半径を算出した.伸びひずみの実測値から,その時の引張荷重をリニアライジング法で求め,Kirkらの式から圧を予測計算した.下腿後面は大腿前面と比べて被服圧が大きかった.引張荷重から求めたリニアライジング法の被服圧予測値は,二軸試験機で実測した引張荷重から求めた被服圧予測値よりもやや大きく,また実測値の1.5倍から2倍の値となった【担当井上,研究Ⅰ・Ⅲ】.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究Ⅰの圧の校正器の製作に時間を取られたことと,研究代表者が衣服圧測定に関する共同研究を実施するため,数か月間渡豪したために,担当分の研究が遅れている.しかし本研究の目的である衣服圧測定法に関して,オーストラリアやヨーロッパで使用されている機器を実際に使用し,共同研究できたことで研究の幅が広がり,新たな展開も見られている.また,オーストラリアのRMIT大学にて,Lycraを用いたホールガーメントを作製していただく機会を得た.糸の素性等がわかったBandageとそれをStockingに仕立てたものでも,衣服圧が変化することも分かったので,平成30年7月マンチェスターで開催されるTBIS国際会議にSchool of Fashion and TextilesのPhday教授とWang准教授との共同研究として発表予定である. 研究Ⅱに関しては衣服圧センサーとして使用可能な数種の導電樹脂の開発とこれらと銅箔を用いて荷重測定用センサーを構成した際の出力に成功している.その結果ポリカーボネートとポリプロピレンを用いた樹脂では,後者の方が感度が高く,樹脂の選定が完了した. 本年度の研究予定であった研究Ⅲに関しても,関接法と直接法との比較検討にすでに着手できたので,間接法と直接法との差の係数を求めることを試みている.3種の直接法の受圧センサーを用いた圧較正が終われば,圧測定機器による差の係数を求めることが可能となろう. このようにそれぞれ研究者が予定の遂行が完了していないところを埋めながらなお並行しつつ,研究を進めていける段階に達した.このことから,多少の遂行の完成度には差があるものの,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の実施予定から遅れている研究課題については,各担当者で達成を目指す.なお,研究の方向性をすり合わせるために,Face to faceの打合せを平成30年度は多く計画する. 研究Ⅰ:直接法の較正は,液圧平衡法の較正はほぼ終了したが,他の2種類の直接法(接触圧測定法,Flexi-Force)は未完であるので,引き続き遂行する.これに加え,平成29年度作製した様々な硬さのシリコンシートを用いて,測定面の硬さにより,較正値(与えた負荷と出力の読みとの関係)がどのように変化するかを調べる【担当三野】. 研究Ⅱ:新センサのための導電樹脂がほぼ選定されたので,これを封入するポーチの大きさにあわせて,中に並べるセンサを更に小型化,薄型化する必要がある.そこで有限要素法FEMを用いて最適なセンサ形状を目指す【担当中山】. 研究Ⅲ:官能評価・生体データとの検討;衣服圧計測・自律神経系諸機能の計測:ホールガーメントを用いて,同一の曲率半径の部位を剛体と人体で設定し,衣服圧の違いを検討する.着用時の胸部・胴部(呼吸運動に影響を受ける部位),前腕・上腕(脈波に影響を受ける部位),大腿・下腿部(筋運動に影響を受ける部位)の衣服圧を測定する.これにより,静立位であっても呼吸運動や脈波によってどの程度衣服圧が変化するかを3種の直接法のセンサで測定する【担当森島】. 3種類の直接法と間接法との衣服圧の比較:平成29年度はリニアライジング法による引張荷重から求めた被服圧の予測値が二軸試験機で実測した引張荷重から求めた被服圧予測値よりもやや大きく,接触法から求めた実測値の1.5~2倍となった.このことから,他の直接法で得た衣服圧と間接法での予測値を比較検討するとともに,着用条件を更に検討し,両者のズレの原因を検討する【担当井上】.
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Research Products
(7 results)