2018 Fiscal Year Annual Research Report
技術ガバナンス能力を中核に「社会の形成者」を育成するカリキュラムの教科横断的研究
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17H01989
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
上野 耕史 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (20390578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 忠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80314615)
谷田 親彦 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20374811)
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
安藤 明伸 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60344743)
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
島田 和典 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50465861)
磯部 征尊 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70736769)
山田 秀和 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50400122)
瓦井 千尋 宇都宮大学, 教職センター, 教授 (90738775)
西村 圭一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30549358)
磯崎 哲夫 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90243534)
兼宗 進 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00377045)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 技術ガバナンス能力 / 社会の形成者 / 教科横断的カリキュラム / 技術ガバナンスレビュー学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,中学校技術科の学習目標・内容として位置づけられる【技術ガバナンス能力】を,「国家・社会の形成者」に必要な資質・能力の中核に据え,関連する教科である数学科,理科,社会科などの視座から教科横断的に検討するとともに,高等学校情報科,公民科などとの教科発展的な検討を踏まえたカリキュラムを構築することを目的としている。 平成29年3月に告示された「中学校学習指導要領・総則」では,教育課程の編成について「各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと」を求めており,同7月に公表された「学習指導要領解説・総則編」には,その例示として,理科及び技術科の内容が,「主権者として理解しておくことが求められる現代的課題(例)〔科学技術の利用の在り方〕」として示された。このように,【技術ガバナンス能力】の重要性は認識されつつある。そして,この能力は関係教科等が連携して育成できるものである。しかし,先の「学習指導要領・解説」には,社会科や数学科は示されておらず,【技術ガバナンス能力】の視点で検討すると,「科学技術と社会との関わり」や「解決策を検討するためのモデリング」等の重要な内容が不足していると思われる。 以上のような状況を踏まえ,具体的には,研究代表者がこれまでに研究を進めてきた【技術ガバナンス能力】に関する知識及び技能,思考力,判断力,表現力等について,数学科,理科,社会科,情報科などの他教科との関連性や発展性を分析するとともに,「国家・社会の形成者」としての資質・能力へ向上・昇華させるための中学校段階及び高等学校段階のカリキュラムの在り方に関して,教科横断的・発達的に検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,まず昨年度の検討を元に,これまでの【技術ガバナンス能力】に関する中学校技術科の実践や研究について,「使用者や消費者の立場から,評価の下位能力を対象として扱われることが多い」,「必要な製品の開発者への要求や,新たな製品やシステムを構想する側面の強化が必要」といった課題を明らかにした。 そして,このような課題を解決するために,普及している製品やシステムが開発・創造された当時に時間軸を遡り,開発者と消費者,及び両者を結び付け相互作用を生み出した前提となる社会構造や問題意識を俯瞰的に取り上げ,論理的に考察することや数値を用いて表現・説明することなどの数学科に関連する資質・能力や見方・考え方,科学的に探究することや科学的な根拠を基に表現・説明することなどの理科に関係する資質・能力や見方・考え方,社会の諸課題について多角的に公正に判断することなどの社会に関係する資質・能力や見方・考え方を複合して働かせて,【技術イノベーション】の成果として創造された製品に至るまでの【技術ガバナンス】の事例を明らかにする「技術ガバナンスレビュー学習」のカリキュラムを検討・実践した。 具体的に本年度は,エネルギー変換の技術に関して,「アシスト自転車」が開発・創造された過去に遡り,その開発や普及に直接的に関連・貢献した科学の発見や技術の開発状況,開発される発端である社会問題や,普及に影響した法律や生活様式等を総合的に把握する授業を実践し,生徒の変容を把握した。加えて,関係教科の研究者・実践者を対象とするシンポジウムを開催し,社会を生きる子供たちに求められる技術教育の在り方について参加者とともに協議し,その方向性や特に配慮すべき事項等を明確にした。 ただし,授業の分析とそれに基づくカリキュラムの検討に時間を要しシンポジウムの開催時期が遅れたために,本年度の研究成果を学会等で公表することはできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も,【技術ガバナンス能力】を中心とした「社会の形成者」として必要な資質・能力を育むカリキュラムを構想・計画する。具体的には,昨年度「エネルギー変換の技術」について検討した中学校段階での【技術ガバナンスレビュー学習】のカリキュラムを元に,中学校における他の技術及び,高等学校における情報の技術についての【技術ガバナンス能力】の育成に関するカリキュラムを提案する。 前半には,【技術ガバナンス能力】の位置づけに基づき,中学校技術科の「情報」,「生物育成」における授業実践の構想・計画を「技術科研究者」と「関連教科研究者」の協働により行う。各関連教科と技術科で扱われる知識及び技能,学習活動などの相互作用を考慮して,【技術ガバナンス能力】に関連した学習テーマ,学習過程,学習評価を検討した授業実践を構想・計画する。 後半には,各関連教科との連携の基に構想された【技術ガバナンス能力】に関わる中学校技術科の授業実践を礎として,各関連教科固有の知識及び技能,思考力,判断力,表現力等が有機的に関連し,「社会の形成者」として必要な資質・能力を形成する中学校段階でのカリキュラムとなるよう整理する。 また,中学校技術科「情報」に関する検討を元に,高等学校「情報科」を中心とした【技術ガバナンス能力】の育成に関するカリキュラムの検討を進める。 年度末にはシンポジウムを開催し,整理されたカリキュラムについて,技術科及び関連教科の研究者,教師などに広く周知し意見を募るとともに,関係学会等での成果の公表に努める。
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