2018 Fiscal Year Annual Research Report
Adaptive Microworld for Developing Skill in Investigative Learning on the Web
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17H01992
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
柏原 昭博 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10243263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹岡 亮 山口大学, 教育学部, 教授 (10293135)
長谷川 忍 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (30345665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育工学 / Webマイクロワールド / 適応的支援 / 調べ学習 / Linked Open Data |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Web調べ学習スキル(学習課題構造化スキル)の向上を適応的に支援することを意図したWebマイクロワールドの構築を目指して、平成30年度は適応的な学習支援技術を中心に開発・評価を行った。具体的には、次の1~3を行った。
(1)Webマイクロワールド制御メカニズムの開発・洗練:Webマイクロワールドの制御基盤として,Wikipedia JapaneseのLOD(Linked Open Data)であるDBpedia Japaneseを用いて学習者が作成した学習課題構造の妥当性診断精度の向上を図った。その結果、概ね診断精度の向上が可能であることを確認した。 (2)適応的Webマイクロワールドの開発:学習者の学習課題の妥当性および学習課題構造化プロセスでの行き詰まりを診断し、その結果に応じて学習者の学習課題構造化をガイドするために、次に学ぶべき学習項目をLODから抽出し、部分課題として学習者に推薦するメカニズムを開発した。また、調べ学習スキル向上支援のための演習問題として、学習課題について学ぶべき学習項目、および課題とは関連しない項目をLODから抽出し、それらを部分課題の候補として提示するメカニズムを開発した。また、提示する学習項目を制御することで、演習問題の難しさを変化させる手法について検討した。 (3)有効性評価実験:理工学系大学生・大学院生を対象に、認知ツールを用いたWeb調べ学習を遂行させる実験を行い、学習課題構造の診断精度、診断に基づく部分課題候補の推薦の妥当性・有効性を評価した。また、これらの評価実験の結果を踏まえて、診断・推薦メカニズムの改善策について検討した。演習問題生成メカニズムについては、Web調べ学習初心者に機能することを確かめる実験を実施した。さらに、教育現場の教員から適応的Webマイクロワールドの利点や改善点について意見聴取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LODを基盤としたWebマイクロワールド制御メカニズム、適応的支援としての推薦メカニズム、および演習問題の自動生成メカニズムについては、計画通り進めることができた。また、これらのメカニズムを用いた有効性評価実験の結果、メカニズムの有効性を確認することができた。同時に、調べ学習課題によって、LODのデータ不足が原因で診断精度が低下し、適応的な支援が難しくなるといった問題点も見出された。しかし、LODがカバーするデータの範囲内であれば、学習課題に精通した人間とほぼ同程度に学習課題構造を診断できることを確認できた。これは、これまで解を定義しがたいWeb空間での適応的支援の可能性を拓くことを意味し、大きな意義のある研究成果といえる。また、Web調べ学習の演習については、問題定義とその有効性検証に注力したため、問題の難易度を踏まえて問題系列を決めるメカニズムの実現までは至らなかったが、どのように難易度を変更するかについての方法は明らかにすることができた。 このように、学習者による主体的な調べ学習プロセスを適応的に支援するというこれまでにない独創的な方法を開発し、その有効性を確かめることができたことから、現在までの達成度を(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Webマイクロワールドにおける適応的支援に関する研究成果の公表を進めることで、本支援の独創性および有効性を検証する。また、LODでは診断や適応的支援が困難な学習課題についても対応可能とする技術について検討を進める。さらに、本年度明らかにした演習問題系列化方法を踏まえて演習メカニズムを開発し、学習者の調べ学習スキルの向上を図る。
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