2018 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火推移予測のための数理統計学的手法による噴出物データの解析研究
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17H02063
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
嶋野 岳人 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (70396894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 里奈 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 任期制職員 (30792965)
上木 賢太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 技術研究員 (40646353)
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 教授 (60144391)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
三輪 学央 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 火山防災研究部門, 主任研究員 (80615659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 火山 / モニタリング / 噴出物 / 統計解析 / 噴火推移 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き,代表・各分担者がすでに獲得している火山噴出物データ(化学組成,形態,測色値)を用い,これらの統計解析を含む解析を行った.数理を専門とする研究者によるアドバイスを得ながら研究者間でこれらの結果について意見交換を行い,マグマの成因や噴火様式の違いなど,試料の持つ特性や指標などをより的確に導出するための方法を検討した. 【課題1】については,時刻精度を高めるなどの改良を行った噴出物連続採取装置改良機による観測を5月から開始し,現在は試料回収が順調に進んでいる(嶋野).初年度にルーチン化を進めた調整・分析手法について,より効率的な解析環境の整備を行った.特に,電子顕微鏡写真から噴出物の気泡の径・形・量(数)を迅速に計測する手法を開発した(安田). 【課題2】については,化学組成や噴出物の形態に関して主成分・クラスター分析をもちいて,マグマの生成条件や噴火様式を判別できることが明らかとなってきたが,これらが論文として発表された(野口,上木). 【課題3】については,桜島火山の噴出物データ(火山灰測色値)と地球物理学的データ(地震・爆発回数や地殻変動量など)の時系列変化について解析を行った.特に,地下のマグマの上昇・移動などに伴って生じるであろうこれらのデータの時間差について,時系列解析の手法を用いて定量的に明らかにした. 以上を代表者および分担者がそれぞれの担当分野,火山で行い,翌最終年度に向けてより汎用性の高い手法を確立していくための議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各分担者毎に,それぞれ想定していた成果が出つつあり,学会発表がなされている.また,数件については数理研究者との協働により既に学術論文の出版に至っているため,当初計画の予定通りの成果が出ているといえる.また,共同研究者どうしでの情報・意見交換も継続して取れており,これまでに成果を挙げた手法を用いて,新たに得た噴出物や観測データ等についても同様の解析を行う展望が開けてきたため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで2カ年は,各研究者毎に担当する研究課題においてそれぞれ現象観測,噴出物の採取,解析,データ取得,統計解析などの手法やデータ蓄積の開発・改良を進めてきた.今後は,これらの手法を用いて実際の火山・噴火を題材とした解析を進め,噴火メカニズム等の現象理解につなげるとともに,学術雑誌への投稿を行う. 一方,本研究の共同研究者どうしでの連携を強め,異なる手法によるデータや解析手法の融合を行って,火山現象の多角的な理解を進める.
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Research Products
(41 results)