2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the support tactics for international cooperation in PE curriculum management to developing country
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17H02146
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Research Institution | Kindai University Kyushu Junior College |
Principal Investigator |
鐘ケ江 淳一 近畿大学九州短期大学, 保育科, 教授 (90185918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 憲子 中村学園大学, 教育学部, 准教授 (00301721)
門田 理代子 中村学園大学短期大学部, その他部局等, 助手 (40641866)
黒川 哲也 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (50390258)
口野 隆史 京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (60192027)
續木 智彦 西南学院大学, 人間科学部, 講師 (60468791)
海野 勇三 愛知学院大学, 教養部, 教授 (30151955)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際教育協力 / 学校体育 / カリキュラム・マネジメント / スポーツを通じた開発 / 援助方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.学校教育及びスポーツ振興を対象とした開発援助に関する研究の動向分析 先行研究を対象とした文献研究によって、途上国への開発援助分野の研究動向として、以下のような傾向を抽出した。①目標に準拠した評価(goal- reference evaluation)が重視されていること、②プロジェクト終了時までに「プロジェクト目標」が達成されることが期待されていること、③援助実施の妥当性や短期間の成果として設定された目標の達成度を測定することが中心であること。こうした研究動向を踏まえ、学校教育及びスポーツ振興分野での支援においては、被援助側が自分たちに合った問題解決の方法を選択し、主体的に実施することを支援するというプロセスが重要になること、とりわけ、直接受益者である子どもや学校関係者がどのような活動に関わり、そのプロセスで起きている変化をどのように認識しているかを把握することの重要性を強調した。 2.本研究遂行に向けた関係構築及び学校体育の実態把握のための現地調査 カンボジア・ウドンミエンチェン州に渡航し、現地関係者との間で研究体制構築に向けた協議を行った。州及び郡・市レベルの教育行政担当者と協議した結果、平成31年度までの継続的なフィールドワークに基づく調査研究を実施することについて合意することができた。くわえて、現地の文化的状況、教育制度・カリキュラム、市民スポーツの成熟度などについての丹念な実態把握のための予備的な現地調査を実施した。JICA草の根技術協力事業による小学校体育科教育支援の事業展開により、文字で書かれた(Intended)カリキュラムとしての「指導要領」「指導書」は、国-地域-学校レベルへと伝達されていることが推察された。しかし、実際に実施された(Implemented)カリキュラムとしての日常的な体育授業の実施状況については、従前と変わらない状況であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3回のカンボジア渡航の機会を得て、現地関係者との良好な関係を構築することができたことにより、平成30年度の本調査実施に向け、第一年次の平成29年度は、おおむね順調に進展してきたといえる。とりわけ、ウドンミエンチェン州教育事務所長をはじめとする教育行政機関との関係構築により、州内への支援活動や研究活動の基盤、さらに、研究の対象エリアを拡大するための示唆を得ることができた。 平成29年度のテーマであった学校教育及びスポーツ振興を対象とした開発援助に関する研究の動向分析、学校体育の実態把握のための現地調査で得られた研究成果をThe Eighth Pacific Rim Conference on Education(11月、北海道教育大学)で3本、Re-imagining Education for Democracy Summit(11月、オーストラリア・西クイーンズランド大学)で2本の国際学会における口頭発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、調査対象国であるカンボジアにおいて本調査を実施する予定である。2011年以降、援助活動を実施しているウドンミエンチェン州への渡航を実施し、児童・生徒、学校関係者への質問紙調査、インタビュー、授業分析、体力・運動能力テストを行う。さらに、カリキュラム・マネジメント過程の検証については、ナショナル・カリキュラムが学校の日常的な体育授業にどのように具現化しているのか、教育実践の事実と児童生徒の達成状況がどのように検証されているのかの観点から現地関係者を対象とした量的・質的調査を実施する。 7月に予定されているカンボジア総選挙をめぐり、日本、中国と欧米諸国の国際支援の対応が割れるなど、カンボジア国内情勢の変化が危惧されている。今後は、外務省海外安全ホームページの「危険度情報」などを注視しながら、渡航、本調査実施の判断をしていきたい。また、カンボジアに対する日本政府の対応の変化によっては、近隣のラオスなどの途上国支援を研究の対象とすることも視野に入れながら、文献による対象国の実態把握にも努めていきたい。
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Research Products
(5 results)