2019 Fiscal Year Annual Research Report
運動による慢性炎症性疾患予防の分子機構:マクロファージ・インスリン受容体の役割
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17H02160
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木崎 節子 杏林大学, 医学部, 教授 (00322446)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロファージ / インスリン受容体 / インスリン / インターロイキン-4 / M2型マクロファージ / シグナル伝達 / マウス / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、マクロファージの抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導に対するインスリンの影響と習慣的運動の効果を明らかにすることを目的とした。幼齢期雄性C57BL/6Jマウスを対照(sedentary control:SC)群と自発運動(voluntary exercise:VE)群に分け、それぞれ通常ケージと回転カゴ付きケージで10週間個別飼育した。腹腔滲出性マクロファージ(peritoneal exudate macrophage:PEMΦ)を採取し、インスリンで刺激した後、培養液にインターロイキン-4(IL-4)を添加してさらに培養した。細胞からRNAとタンパク質を抽出し、M2型分化マーカー遺伝子(Arg1、Mgl2)のmRNAレベルと細胞内シグナルタンパク質(Akt、STAT6)のリン酸化・タンパク質レベルを、それぞれリアルタイムPCR法とウェスタンブロット法で分析した。IL-4によるPEMΦのArg1とMgl2のmRNA発現誘導はSC群とVE群いずれも同程度引き起こされたが、VE群ではこの応答がインスリンによって有意に増強されていた。しかし、IL-4によるPEMΦのSTAT6のリン酸化亢進もSC群とVE群いずれも同程度引き起こされたが、両群共にインスリンによる増強は認められなかった。そのため、STAT6の核内移行や細胞内局在性の分析が今後の検討課題である。一方、インスリンによるAktのリン酸化亢進はSC群とVE群いずれも同程度引き起こされていた。この結果から、VE群で認められたM2型分化マーカー遺伝子のmRNA発現誘導に対するインスリンの増強効果には、Aktを介さないシグナル伝達経路が関与していることが推定される。以上より、習慣的運動は、マクロファージの抗炎症性M2型フェノタイプへの分化誘導に対するインスリンの増強効果を促進することが明らかになった。今後も引き続きメカニズムの解析を進めて行く予定である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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