2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical study of excess capacity in iron and steel, coal and power generation industry in China
Project/Area Number |
17H02226
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川端 望 東北大学, 経済学研究科, 教授 (20244650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 伸浩 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10450503)
渡邉 真理子 学習院大学, 経済学部, 教授 (10466063)
李 捷生 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50255634)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 過剰能力 / 中国経済 / 国有企業 / 民営企業 / 石炭産業 / 鉄鋼産業 / 市場競争の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国における過剰能力削減政策を市場競争の質の向上という観点から評価する実態調査と研究を各人が進めた。また,研究協力者の徐向陽氏を招へいし,石炭産業を事例として過剰能力削減による技術水準の向上と企業集中について報告と討論を行った。 研究の中間的なまとめの場として,2018年度中国経済経営学会全国大会において分科会「過剰能力削減政策は市場競争の質を向上させるか」を開催した。ここでは3つの観点から報告を行った。1)政策の全体像を踏まえた評価を試みた。過剰能力削減政策は量的に能力を減少させる政策であるが,そこだけで評価すべきではない。中国政府は,需給をバランスさせるのみならず,産業構造の高度化,環境負荷の低減を併せて達成するために政策実施の基準や手段を調節し,また多様化しているからである。可能な限り全体をつかみ,進捗状況と展望を評価することを試みた(川端・銀報告,堀井報告)。2)過剰能力削減が,a)旧式・小型設備淘汰とb)ゾンビ企業整理の2方面で行うとされているにもかかわらず,実際には前者が中心となっていることから,国有企業のソフトな予算制約ゆえに能力が温存されている可能性がある。国有企業の企業行動の分析を通して,ソフトな予算制約が産業組織全体に影響を与える可能性を検証した(渡邉報告)。なお,李も3)地域における政策実施過程の実態。過剰生産能力削減政策は、鉄鋼業を重要産業とする地域において、具体的にどのような仕組みを通じて推進されているのか、また地域経済・社会にどのようなインパクトを与えているのかを明らかにする報告を完成させていたが,体調不良のため当日欠席した。これらの報告に対して学会員から様々なコメントが寄せられた。大会の結果を踏まえて,最終成果に向けた検討を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過剰能力削減政策の評価について,1)政策の全体像を踏まえた評価,2)国有企業のソフトな予算制約が過剰能力温存につながっていることの実証,3)政策実施の地域経済・社会における具体的過程と帰結という三つの視角から中間的成果をまとめ,学会の全国大会に分科会をもって報告することができた。中国経済経営学会という専門的研究者の集合する場で分科会を持ち,内容の濃い討論を行って,最終成果作成への展望を開いた。計画に比して,おおむね順調な進展と言える。 なお,北京における中国の研究者との意見交換のために繰り越しを申請し認められたが,繰越申請時の計画通り,北京に渡航して北京大学国家発展研究院においてワークショップを開催した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の最終成果とりまとめに向け,研究会を開催するとともに,各自が学会報告,論文執筆・投稿を行う。
|