2019 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity in the relationship between low and upland society in mountain Southeast Asia
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17H02233
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富田 晋介 名古屋大学, 環境学研究科, 特任准教授 (60378966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏原 和美 東邦大学, 看護学部, 教授 (00345050)
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東南アジア研究 / 健康 / 生態環境利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年8月および2020年2月に調査を行った。プロジェクトメンバーとともに新たな村をおとずれ、全村人を対象として、親族関係、および出生、死亡、移動に関する聞き取りを行った。また、これまでデータ収集を継続してきた村においても人口データを更新した。また、あるひとつの村における労働時間配分にについてまとめ、論文を公表した。 次に、低地と山地に暮らす人々の健康状態を評価するため、腸内細菌叢を調べた。その結果、山地の人の方が、低地よりも多くの腸内細菌種をもっていた。つまり、山地に暮らす人々の方が、植物からの栄養素の吸収を効率的に行えることが示唆された。また、野生植物利用が村人の腸内細菌叢に大きく関係している可能性があったことから、低地と山地の村において、野生植物利用の実態と植物種の採集および同定作業を行った。山地と低地ではどちらとも100から200種の野生植物種を食用として利用していたが、生態環境の違いから異なる植物種を利用していた。今後、植物種の利用実態と腸内細菌叢の関係について、さらに検討を行っていく予定である。また、腸内細菌叢は環境細菌由来が多いことから、低地と山地という居住環境や生態環境の違いが、人々の生態への適応の違いを生み出している可能性があった。 さらに、低地と山地において化学物質への暴露状態を調べた。その結果、山地では有害化学物質が見られなかったものの、低地では体内のヒ素濃度が高かった。健康状態の悪化にすぐに影響するものではないが、低地で高血圧の人々が多い一因であると思われた。これが、近年の開発による影響によるものなのか、それとも低地がもつひとつの特徴であるのかについては、今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトメンバーの協力により、研究はおおむね順調に進んでいる。ただし、データ分析に予想以上の時間がかかっているため、成果を論文と発表できているのはごく少数である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年を迎えるにあたり、データの整理・分析・統合に重点をおき、積極的に成果発表を行う。メンバー個別のテーマによる論文に加えて、学際的な論文の作成にも取り組む。
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Research Products
(5 results)