2019 Fiscal Year Annual Research Report
旅行キャリア発達のための熟達化過程の解明とキャリア対応型観光支援システムの開発
Project/Area Number |
17H02254
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
林 幸史 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (10567621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 卓也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (30441174)
小杉 考司 専修大学, 人間科学部, 教授 (60452629)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 旅行キャリア / 観光写真 / 観光資源 / 旅行熟達 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、旅行キャリアの発達過程を明らかにするとともに、旅行者の熟達度によって、観光資源に対する評価や訪問地内行動(認知・感情)がどのように異なるのかを明らかにすることを目的とした。そこで、2つの調査研究を実施した。 1つ目は、観光旅行者が経験を積むことによる熟達過程を明らかにするためのweb調査である。25~29歳、35~39歳のweb調査会社のモニター600名(男性300名, 女性300名)を対象に調査を実施した。調査内容は、(1)20代、中学生・高校生時代、小学生時代の旅行実施状況、(2)各年代での印象深い旅の経験内容に関する質問項目、(3)過去の旅行経験量(国内旅行都道府県数、海外訪問国数)、(4)旅行熟達尺度、(5)デモグラフィック変数であった。現時点での分析からは、小学生時代の旅行では、娯楽追求、自然体感に関わる旅の経験が印象深いものとして選択される傾向にあり、30代では、健康回復、関係強化に関わる経験が印象深い経験として選択される傾向にあることが分かった。過去の旅行経験量を踏まえた分析では、経験豊富な旅行者群では、20代の頃の旅行で、文化見聞に関わる旅の経験が印象深いものとして選択される傾向にあることが分かった。このことから、若年期の旅行で上質な自然や文化に触れる旅行が、その後の旅行キャリア形成を促進することが考えられる。 2つ目は、観光写真調査法によるフィールド調査である。昨年度に作成したwebサイト『観光写真リサーチプロジェクト』を用いて奈良県内を観光目的で訪れた旅行者41名を対象に調査を実施した。調査対象者からはウェブ経由で294枚の写真が提供された。それらの写真を林(2019)の撮影カテゴリにもとづいて分類し、熟達度による観光資源の評価の相違について分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4年計画の本研究は、第1に、観光旅行者が経験を積むことによる熟達過程を明らかにすること、第2に、旅行キャリア発達のための観光支援システムを開発することを主目的としている。令和元年度は、3年目に該当する年であったが、これまでの研究から旅行熟達と旅行キャリアの発達過程を概ね明らかにすることができた。ただし、観光写真調査法を用いての観光資源に対する評価研究や旅行キャリア発達のための観光支援システムの開発に関しては、フィールドでの調査実施が困難となったため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症拡大によって、最終年度にあたる令和2年度に予定していたキャリア・レベルに応じた観光情報発信を試みるアクション・リサーチの実施は困難であると判断した。そこで、webサイト『観光写真リサーチプロジェクト』の一部を改訂することで、直近2年間で奈良県内を観光で訪れた旅行者を対象にオンライン上で調査協力を募り、調査を継続することとする。そして、旅行キャリアの段階によって実際の観光地での行動(認知、感情)がどのように異なるのかについて明らかにする。
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