2017 Fiscal Year Annual Research Report
南方熊楠のノート・書き込み・書簡に関するデータベース作成とその分析
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17H02283
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松居 竜五 龍谷大学, 国際学部, 教授 (40238952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畔上 直樹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20315740)
橋爪 博幸 桐生大学短期大学部, その他部局等, 講師(移行) (40412978)
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授(移行) (50177193)
千本 英史 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (50188489)
安田 忠典 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (90388413)
唐澤 太輔 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90609017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南方熊楠 / 民俗学 / 博物学 / 仏教 / 抜書 / データベース / 生態学 / 自然保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
RA3名を雇用し、東京と関西で毎月開催されている南方熊楠の研究会を中心とした研究体制に関する確認をおこなった。また和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰館および同白浜町の南方熊楠記念館との協力関係について、松居が出張してそれぞれの館長以下の担当者と協議した。こうした協力関係に基づいて、南方熊楠関連資料特にデジタル化資料を研究者間で共有するための研究ネットワークの構築をおこなった。 8月4日~6日に田辺市において南方熊楠研究会夏期例会を開催し、計40名程の関連の研究者が参加した。一日目には畔上直樹のコーディネートによる研究動向のセッションと、2016年12月に刊行された松居竜五『南方熊楠 複眼の学問構想』および2017年3月に刊行された『熊楠研究』第11号の合評がおこなわれた。二日目午前には公募による自由論題発表、午後には千本英史のコーディネートによるシンポジウム「「田辺抜書」をどう読むか」がおこなわれた。三日目には安田忠典のコーディネートによるワークショップ「中村古峡、南方熊楠と神秘思想・異常心理」などがおこなわれた。 9月2日~14日に松居が米国のニューヨークとワシントンDCに出張して関連調査をおこなった。これにより、連邦議会図書館に残された熊楠から植物学者スウィングル宛の書簡や標本を発見した。また熊楠が1892年にニューヨークで滞在したホテルの場所を特定した。これらの成果については、2018年5月3日に南方熊楠顕彰館で口頭発表をおこなった。 10月から翌年2月にかけて『熊楠研究』第11号の編集をおこない、3月に刊行した。特集は夏期例会の際の自由論題で議論の的となった英文論考「燕石考」に関するものとした。 12月から翌年3月にかけて、東京の国立科学博物館において「南方熊楠 百年早かった智の人」展を開催し、本研究の成果を活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の南方熊楠研究会創設以降、8月の研究会夏期例会での発表を翌年3月の機関誌『熊楠研究』で成果としてまとめるというサイクルが機能している。ただし2017年度に関しては、公開シンポジウムを特集としてまとめるというこれまでの流れを踏襲することができず、自由論題を新たに組み合わせた「「燕石考」を読む」を特集とすることとなった。このため、2018年8月の次回の夏期例会において、あらためてこの特集に基づく合評会をおこなうこととなった。 必要資料のデジタルデータ化については、南方熊楠顕彰館との連携により順調に進んでおり、今後は関連研究者への提供の方法と、使用の際のルール作りをおこなっていくことになる。 松居の9月の米国出張によって、関連資料が数多く残されていることが確認された。これによって、調査・整理すべき資料が従来よりも増加していることを踏まえて、今後の研究計画を立てる必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は8月10日~12日に南方熊楠研究会を開催する。公開シンポジウムのタイトルは「紀伊半島の植生から考える南方熊楠の神社合祀反対運動」とする予定であり、松居がコーディネーターとなって、最先端の日本列島における生態研究の視点から、神社合祀反対運動を位置づけることを企図している。また『熊楠研究』12号の特集とした「「燕石考」をどう読むか」について、寄稿者を中心としたパネルディスカッションをおこなう。さらに、2018年3月に逝去した中瀬喜陽氏の熊楠研究に関する業績を回顧するセッション、岩倉病院と熊楠の息子熊弥の療養生活に関するセッションをおこなう予定である。 本研究の成果の一端を、南方熊楠顕彰館における展示に提供する。顕彰館では6月に江聖聡、10月に宮武省三、2019年2月に田中長三郎に関する展示を企画しており、松居を中心として展示の準備をおこなうことになる。 東京および関西の研究会の参加者間で必要な資料のデジタルデータを共有することについて、オンラインでの配布なども含めて準備を進める。
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Research Products
(12 results)