2018 Fiscal Year Annual Research Report
南方熊楠のノート・書き込み・書簡に関するデータベース作成とその分析
Project/Area Number |
17H02283
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松居 竜五 龍谷大学, 国際学部, 教授 (40238952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畔上 直樹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20315740)
橋爪 博幸 桐生大学短期大学部, その他部局等, 講師(移行) (40412978)
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授(移行) (50177193)
千本 英史 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (50188489)
安田 忠典 関西大学, 人間健康学部, 教授 (90388413)
唐澤 太輔 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90609017)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 博物学 / 文化人類学 / 民俗学 / 生態学 / 仏教 / 大英帝国 / 紀伊半島 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
5月3日に南方熊楠顕彰館において松居が2017年9月にワシントンで調査したスウィングル宛の南方熊楠書簡と標本に関して発表した。その後『熊楠ワークス』でこの時の講演録を刊行し、詳しい内容について9月末に『龍谷大学国際社会文化研究所紀要』に投稿して、現在印刷中である。6月には南方熊楠顕彰館の月例展として、熊楠がアメリカ滞在中にジャクソンヴィルで交遊を深めた江聖聡に関する展示を松居が作成し、6月23日にこの展観に関する解説をおこなった。 8月10日~12日に和歌山県田辺市において「資料検討部会」「研究動向」「合評会」「一般公募」「シンポジウム」に分けて3日間の日程で南方熊楠研究会の第4回夏期例会をおこなった。このうちシンポジウムでは「紀伊半島の植生から考える南方熊楠の神社合祀反対運動」という題で議論し、内容は『熊楠ワークス』に紹介された。 この研究会の他の成果については、9月末締め切りで原稿を集め、査読と編集作業をほどこした後、2019年3月に刊行した『熊楠研究』第13号に多くを収録した。第一特集の「南方熊楠・熊弥と岩倉病院」、第二特集の「熊楠生前の著作刊行計画」の他、「燕石考」に関する合評会を踏まえた論文が収録されている。 2019年3月には、南方熊楠顕彰館の常設展のリニューアルがおこなわれたが、松居はこの監修者として加わり、これまでの本研究の成果を反映することに努めた。その結果として、新たな常設展には、文章と画像によるパネル解説だけでなく、デジタルフォトフレームやタッチパネルを駆使した熊楠の学問内容の紹介が盛り込まれることとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京・関西・田辺の3箇所で毎月開催している研究会を中心に、一年を通じて活発な活動を維持できている。また毎年8月上旬におこなう夏期例会の成果を翌年3月の『熊楠研究』に発表する体制が確立され、より計画的な研究の流れができつつある。南方熊楠顕彰館との協力により、こうした成果を一般に還元することも十分にできていると考えられる。 一方で、日記などの未刊行テクストの翻刻と、ノート類の整理に関しては、上記の研究会で進めている。その結果「田辺抜書」については東京翻字の会、「ロンドン抜書」に関しては熊楠関西において、データベースの情報を蓄積しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は南方熊楠のノート類の整理を引き続きおこない、「田辺抜書」「ロンドン抜書」のデータベース化とその共有を進める。その上で、熊楠が論考作成のために用いた「マインド・マップ」である「腹稿」の分析をおこない、抜書→腹稿→論考という知的作業の流れの全体像を解明する。 また今年度は日記原稿のとりまとめにも力を注ぎたい。東京・関西・田辺の3つの研究会で行われてきた日記の翻刻作業により、未刊行分の1914年から1941年までの分のほぼ8割の原稿が仕上がりつつある。これを踏まえて、来年度以降の出版のためにこの原稿の編集作業を進めたい。
|