2019 Fiscal Year Annual Research Report
A nationwide research project of regional amateur theatre in Japan
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17H02302
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小田中 章浩 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70224251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 哲也 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (20230047)
中川 眞 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任教授 (40135637)
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 教授 (40302830)
五島 朋子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80403369)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域演劇 / 市民演劇 / 素人演劇 / 伝統芸能の現代化 / 社会包摂と演劇 / 市民ミュージカル / 学校演劇 / regional theater |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2018年度に引き続き、合計33件の地域市民演劇に関する調査(舞台の観劇だけでなく当事者へのインタビュー含む)ならびに研究を行った。これらの調査対象は、前年度から継続して行われてきた民俗藝能における新しい動き、市民ミュージカルの隆盛、社会包摂的市民演劇、女性キャストによるミュージカル劇団という現象に加えて、昨年度は活動歴の長い新劇系の劇団を新たな考察の対象に加えた。これらの調査からいくつか代表的なものを挙げると、川崎郷土・市民劇『日本民家園ものがたり』(2019年5月、川崎市)、劇団ともしび「こんにちは、母さん』(7月、郡上市)、鹿野ふるさとミュージカル『踊り見の城』(8月、鳥取市民会館)、劇団クラーナ・ジュネス『アナザー・ワールド』(8月、東京都)、江別市民ミュージカル『レンガ通りの向こうから』(8月、江別市)、劇団メリーゴーランド『誘惑のクミンシード』(9月、東京都)、劇団ぶどう座『植物医師』(10月、岩手県西和賀町)、仙台シニア劇団まんざら『煙が目にしみる』(10月、仙台市)、京浜協同劇団『結婚の申込』(11月、川崎市)、現代版組踊『肝高の阿麻和利』(3月、うるま市)などが含まれる。 さらに6月および10月に研究集会を行い、調査について全体報告が行われると共に、個別の調査に基づいて地域市民演劇を包括的に論じるための考察が行われた。6月に成蹊大学で行われた研究集会は一般公開され、ユニークな学習塾、赤門塾が行っている演劇祭を記録したドキュメンタリー映画『ぼくたちのハムレットができるまで』の上映会が行われ、上映後、塾の主催者である哲学者、長谷川宏氏を交えた関係者の座談会が行われた。 10月に岩手県西和賀町で行われた日本演劇学会研究集会ではパネル「地域演劇の新しい動き―伝統芸能と市民演劇のあわい」を組織し、4名の研究分担者、協力者が報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本各地で行われている地域市民演劇について、そのさまざまな側面について当初の予定を超える実地調査を行うことができた(ただし年度末の2020年3月に予定されていた調査の一部は新型コロナウィルスによる地域イベントの活動の自粛によって断念せざるをえなかった)。研究集会、学会発表、ならびにこれに付随して行われた公開イベントによって研究成果を確実に社会に発信できている。したがって研究はきわめて順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスが、地域市民演劇に関する現地調査の実施に暗雲を投げかけている。ただし状況の推移を注視しながら研究の最終年度にあたる2020年度についても一定件数の調査を行う予定である。学会活動についても、新型コロナウィルスの影響があった。2020年8月にベルギー・ゲントで開催されるはずだったEuropean Association for Japanese Studiesにおいて、日比野啓、本橋哲也、片山幹生らによるパネル “Theatre That Holds the Self-Reflective Mirror up to Culture: Japanese Regional Amateur Theatre Reconsidered”がアクセプトされたが、コロナ禍によって2021年に延期された。同様に2020年7月にアイルランド、ゴールウェーで開催予定の国際演劇学会において小田中が"Problems of Sustaining the Japanese Regional Theatre: A Case Study of Shi’i-no-mi Theatre in Shimane Prefecture"を発表予定であったが、学会は翌年に延期された。 6月に外部講師を招いた勉強会と併せて予定されている研究集会についてはZoomを用いた遠隔会議として行われる予定である。 最後にこれまでの調査・研究成果をまとめた論集『地域市民演劇の現在』(仮題)が森話社から刊行されることが正式に決まり、9月末日を締切として研究分担者、協力者が原稿を提出する。
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Research Products
(8 results)