2017 Fiscal Year Annual Research Report
〈難民〉の時代とその表現:1930─50年代北東アジアにおける移動と文化活動
Project/Area Number |
17H02315
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
坪井 秀人 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90197757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 恵 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30340904)
川口 隆行 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30512579)
溝渕 園子 広島大学, 文学研究科, 教授 (40332861)
平田 由美 大阪大学, 文学研究科, 教授 (60153326)
石川 巧 立教大学, 文学部, 教授 (60253176)
宋 恵媛 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60791267)
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難民 / displaced person / 旧満州 / 安山 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1930ー50年代北東アジアにおける〈難民〉化した日本人および韓国朝鮮人など東アジアの人々の文化活動について「理論研究」「文化活動研究」「比較研究」の3部門から研究を行っている。 「理論研究」については研究会メンバーの知識的な共有を図るべく基本的文献であるベン・シェファードの『遠すぎた家路:戦後ヨーロッパの難民たち』(Ben Shephard, The Long Road Home: The Aftermath of the Second World War, Anchor, 2012)英語原典と日本語翻訳を研究会で精読し、DP(Displaced person〈居場所を追われた人々〉)という基本的概念について検討を行った。文化の越境・移動に関する理論的認識のもとに、DP その他の概念規定を参照しながら、北東アジアにおける〈難民〉の概念を世界的な視野から再検討し、世界大戦によって生じた難民の事例との比較を通して、北東アジアにおいて帝国日本が生み出した難民とその表象がどのような特質を持っているかを研究することが出来た。 このほか計3回の研究会では立教大学教授の長有紀枝氏と映画監督の久保田桂子氏を招いて、それぞれ講演をお願いし、久保田監督の作品のスクリーニングも行った。 「比較研究」については雑誌『ツルオカ』の分析を進めた。「文化活動研究」については海外調査を中心に行い、長春とハルビンを調査し、東北師範大学と共同でワークショップを開催し、旧満洲国に関する遺跡や関係施設の調査を行うことが出来た。ただし、旧満洲国の調査とその分析、および韓国・京畿道安山におけるサハリン残留韓国朝鮮人の調査については初年度(2017年度)で完了することが出来なかったので繰越申請を行い、翌年度の2018年度に調査分析を行う研究会を開催し、研究会メンバー複数名が韓国に赴き安山でも聞き取り調査を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究費を繰越して、2年目の2018年度にも旧満洲国の調査分析と韓国のサハリン残留韓国朝鮮人の調査を行ったことで、時間はかかったが、計画通りまたはそれ以上に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
旧満洲国については今後もシベリアやサハリンとの関係も含めて研究を進め、文献資料の発掘を従来通り進める。韓国のサハリン残留韓国朝鮮人の調査については2019年度にサハリンの調査を予定しており、そこでも継続的に行われる予定である。
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Research Products
(42 results)