2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Vicissitudes of Concepts of "Right Congition" in Medieval and Early Modern Europe
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17H02406
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
皆川 卓 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90456492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 正樹 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20206931)
三浦 清美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20272750)
鈴木 道也 東洋大学, 文学部, 教授 (50292636)
石黒 盛久 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50311030)
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60192697)
小山 哲 京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)
坂本 邦暢 明治大学, 文学部, 専任講師 (80778530)
甚野 尚志 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90162825)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ツールとしての教義 / 脱「脱魔術化」 / 霊(spiritus)の理論 / 旧約と新約 / 正しい暴力 / ローマの理解と政治的利用 / 発見されるべき正義=法 / 多数決の理論と心性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、研究代表者および研究分担者は、各々の専門領域で当該研究課題の研究を推進し、8月に長谷川まゆ帆が研究成果を報告した。長谷川は17世紀のローマ法学者ジャン・ドマがフランスにおいて論じた多数決の正統性が、どのような条件の下で多数決の正しさが受容されたかを、18世紀ロレーヌの行政文書にある小教区マコンの村総代の選出例について分析した。その結果、それが形式化された正当性(数原理)ではなく、別に質的な正当性(中世以来の「健全さ」)が存在し、最終的には調停者(公権力)に裁決を委ねるものの、多数決は村人の総意を示す身体表現として浸透し、そこに健全さを求める心性が常に働いていたことを明らかにした。 以上により全ての研究分担者による個別専門研究が完了し、研究従事者は中近世キリスト教世界における「正しい認識(力)」成立の共通点及び成立条件の検討に入り、①霊(精神)、暴力、多数決の解釈が焦点となること、②対象各地域の「正しい認識」の差違の背景には、ローマ的伝統の解釈や旧約聖書・新約聖書の受容を巡る差違があること、③法・政治における「脱魔術化」への批判的検証が必要なこと、④慣習と理論の往還が常に存在すること(「正しさ」形式化へのチェック)、の諸点が基礎的枠組になっていることが確認された。11月にはオーストリアのA.シュトローマイヤー(ザルツブルク大学)、イタリアのM.ペッレグリーニ(ベルガモ大学)、分担者から甚野と石黒を報告者、坂本と非分担者の踊共二(武蔵大)をコメンテーターとして、暴力の正当性に関する英語での研究会を開催し、宗派的抵抗、十字軍思想、暴君放伐、為政者の暴力に関する教示を受けた。それにより、キリスト教的観念と人文的観念は不可欠な要素であるが、両者の結合は多面的かつ多様であり、その点から正当性の多様性が生じることが分かり、上記4点の枠的条件を深化させる課題が示された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(25 results)
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[Book] 歴史書の愉悦2019
Author(s)
藤原辰史、小山哲他21名
Total Pages
272
Publisher
ナカニシヤ出版
ISBN
4779513979
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[Book] ミネルヴァ書房2019
Author(s)
平野千果子、鈴木道也他15名
Total Pages
362
Publisher
新しく学ぶフランス史
ISBN
4623085988
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