2018 Fiscal Year Annual Research Report
場所・物質・人の関係性に注目した知の形成に関する地理学史研究
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17H02430
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (80285311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠城 明雄 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (00243866)
荒又 美陽 明治大学, 文学部, 専任教授 (60409810)
柴田 陽一 摂南大学, 外国語学部, 講師 (60804044)
橘 セツ 神戸山手大学, 現代社会学部, 教授 (70441409)
大城 直樹 明治大学, 文学部, 専任教授 (00274407)
網島 聖 佛教大学, 歴史学部, 講師 (70760130)
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60216075)
森 正人 三重大学, 人文学部, 教授 (10372541)
中島 弘二 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (90217703)
北川 眞也 三重大学, 人文学部, 准教授 (10515448)
原口 剛 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40464599)
水内 俊雄 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (60181880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地理思想 / 地理学史 / 文化地理学 / 社会地理学 / 政治地理学 / 物質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、社会的経験・個人的経験と地理学知の形成・流通・実践について検討することを目的としている。初年度にあたる2017年度の方針を引き継ぎ、3つのチームにわけて個別の研究課題について実施する一方で、研究集会を開催して全体としての議論の進展をはかった。 「身体・語り・思想系研究」チームにおいては、松山棟庵訳述『地学事始』の検討、地理学者が語る地理学者としての経験についての探求、文人ネットワークから近世後期の地誌編成を考察するなど、研究者個人に着目した地理的知の形成史についての研究をすすめた。「物質・空間系研究」チームにおいては、表象・物質両面から日本における「豊かさ幻想」を論じるほか、視覚イメージに関する文化・社会・歴史地理学的研究を展開した。「社会・実践系研究」チームにおいては、身体と生政治についての議論を深め、オリンピックに代表されるメガイベントを契機に世界で起きていることをプラネタリー・ジェントリフィケーションという概念で捉えなおそうとした。 以上の研究を中心に、12月に開催した全体集会で意見交換を行った。個々の研究事例にもとづき、場所・物質・人(身体)が関係しあうプロセスとして地理思想を探求しその有り様に迫る道筋をつけることができたといえる。これらの成果は、『空間・社会・地理思想』22号として2019年3月に出版したほか、The International Geographical Union Regional Conferenceなど国際学会を中心とした口頭発表や論文・著書において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の成果を踏まえ、3つの研究チームを中心に、個人および共通の研究課題について、おおむね研究計画通りに進展させることができ、国内内外でその成果について発表することができた。とりわけ、2018年度には、ケベックと大邱で開催された国際学会に参加し、地理学史コミッションによるセッションなどでその成果を発表することができた。また、全体での研究集会などでの情報交換・ディスカッションを通して、本研究課題の大きな目的を意識し、その中に、個別の研究実践を位置づけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3つの研究チームに分かれた行っていた研究内容を総合し、まとめと展望をおこなうことに集中する一方、進捗状況が遅れ気味な地理学者へのインタビュー調査についても引き続き実施する。さらに、3年間の研究成果をこれまで同様『空間・社会・地理思想』誌だけでなく、英文報告書刊行によって公表する。これらを踏まえ、地理思想研究の次のステップについても展望する。
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