2017 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト成長期のオリンピックに関する地理学的研究―メガイベントを通じた都市変容分析
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17H02432
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
荒又 美陽 東洋大学, 社会学部, 准教授 (60409810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 直樹 明治大学, 文学部, 専任教授 (00274407)
杉山 和明 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (90564930)
山口 晋 目白大学, 社会学部, 准教授 (50507712)
半澤 誠司 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (20514954)
小泉 諒 神奈川大学, 人間科学部, 助教 (70756246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オリンピック / 都市開発 / 地域開発 / セキュリティ / 観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は5年間の研究のはじめとして、メンバーで改めて全体計画を練るとともに、準備研究の成果発表を日本地理学会のE-journalGEOで行い、また海外研究者を招聘して意見交換を実施した。2月のピョンチャンオリンピックも訪問し、現地調査を行った。 E-journalGEOへの投稿論文は、代表者が筆頭著者となり、分担者4人とともに執筆した。代表者は2020年の東京オリンピックの招致に関して問題視されている内容を整理するとともに、都市開発に注目する重要性を示した。分担者の大城は、1988年ソウルオリンピックの調査から、このイベントにかかわる都市開発がいかに現在のソウルの発展につながっているか、また他方でいかに立ち退きを引き起こし続けているかを明らかにした。山口は1998年の長野オリンピックが、関連施設の財政負担の問題があるのと同時に、イベントによる知名度の上昇がいかに国際的な観光客の訪問につながっているかを明らかにした。小泉は2012年のロンドンオリンピックが社会的排除の進んだ地区への投資という意味合いが強かったこと、東京との類似点が目立っていないことを示し、杉山は伊勢志摩サミットの「見せる警備」による負の影響、他方それ自体がイベント後に観光資源となっていくことを示した。また、半澤は別論文で2016年リオデジャネイロの開発が中間層への利益誘導であったことを示した。 さらに、3月にはLSEからHyunBangShin氏を招き、講演を行ってもらうとともに、オリンピック予定地の巡検で意見交換を行った。 以上から、まずはオリンピックによる都市開発について地理学の観点から具体例を持って問題提起することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共著論文1本の受理のほか、2018年度の国際地理学会では、本研究組織がセッションMega-events as a new global norm: (Re)development, Security, Cultural Policyを提案し、受理されている。登録が4月2日までであったため、まだ何本の投稿があったかは不明であるが、少なくとも研究組織外から1人は参加していることがわかっている。また、3月に招聘した研究者の誘いで2018年12月には大邱でセッションを行う予定になっている。研究が初年度から国際的な広がりを持ち始めていることは間違いなく、今後の研究にも大きな力となってくれると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は国際地理学会ケベック大会のセッションを終えたのち、2019年度の関連書籍の出版を目指して研究会を重ねていく予定である。 問題点は2018年度に割り当てられた予算が少なすぎ、ケベックへの出張を終えた後にほとんど予算が残らず、空白ができかねないことである。
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Research Products
(3 results)