2020 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト成長期のオリンピックに関する地理学的研究―メガイベントを通じた都市変容分析
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17H02432
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
荒又 美陽 明治大学, 文学部, 専任教授 (60409810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 直樹 明治大学, 文学部, 専任教授 (00274407)
杉山 和明 流通経済大学, 経済学部, 教授 (90564930)
半澤 誠司 明治学院大学, 社会学部, 教授 (20514954)
山口 晋 目白大学, 社会学部, 准教授 (50507712)
小泉 諒 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (70756246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オリンピック / メガ・イベント / 都市開発・地域開発 / セキュリティ / 競技施設 / レガシー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、本科研全体の方向性が大きく揺らいだ1年だった。Covid-19パンデミックにより、東京2020大会は1年程度の延期となり、オリンピックとは何であったかと問うはずが、本当に開催されるのかどうかを問うことになったからである。また海外調査はもちろん、都道府県のまたぐ移動が制限されたために、予定していた調査は先送りにせざるを得なかった。結果として、研究全体を2021年度に持ち越すこととなった。 他方、2020年度は前年度までの3か年の成果を多く世に問うことができた1年でもあり、それによってさらなる研究の可能性も広がった。オリンピックの実施様態自体が大きく変化したために、思いがけない注目を集めることにもなった。 具体的には、まず、研究分担者の半澤誠司の尽力により、『経済地理学年報』において、この科研チームを中心とし、「都市・社会とオリンピック」と題した特集号を発表することができた。研究協力者の成瀬厚は英語圏でのオリンピック研究から地理学的主題のあり方を問い、研究代表者の荒又はロンドン・東京・パリと続くグローバル・シティのオリンピックの特徴を分析し、研究分担者の大城は東京の都市開発を1964年から2020年への変化の中でとらえ直し、山口は冬季五輪の施設の中で負荷の大きいボブスレー競技について文化地理学的な分析を行い、小泉は湾岸地域の変化を時代を追って整理し、杉山はメガ・イベントにかかわるセキュリティ対策について位置づけを行った。その後、荒又は特に東京とパリにおける開発の論点を整理して『観光学評論』でも発表した。また成瀬によるオリンピック関連の研究書2本の書評と、カッセンズ=ヌーアとロアマンによる英語論文の翻訳を公刊することができた。 以上により、日本語でのオリンピックに関する議論はかなり整理できたので、次年度は英語での公刊をめざしてさらなる研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は2021年度に一部の研究を繰り越しており、当初予定に比べればやや遅れていると言える。他方で、研究成果は順調に世に問うことができており、機会にも恵まれ、注目されている。2021年度の予定も翌年度に引き継いでいるが、発表の機会は増えており、全体としては「やや遅れている」と「おおむね順調」の間くらいである。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も研究成果を世に問い、評価を仰いでいく。また、日本語での発表は十分にしてきたので、2018年のケベックでの国際学会において議論に参加してくれた人々にも向けて、英語での出版をめざしていく。海外調査もできる限り進めていくが、難しければ、国内での調査を進めるなど、多少の方向転換も含めて検討していく。
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Research Products
(13 results)