2017 Fiscal Year Annual Research Report
comparative studies of public Laws with historical contexts in the era of globalization
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17H02450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 篤 大阪大学, 法学研究科, 教授 (70243540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦裕 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (00448820)
村西 良太 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (10452806)
松本 和彦 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (40273560)
井上 武史 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40432405)
片桐 直人 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (40452312)
鈴木 秀美 慶應義塾大学, メディア・コミュニケーション研究所(三田), 教授 (50247475)
毛利 透 京都大学, 法学研究科, 教授 (60219962)
三宅 雄彦 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60298099)
西 平等 関西大学, 法学部, 教授 (60323656)
大西 楠・テア 専修大学, 法学部, 准教授 (70451763)
福島 涼史 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (70581221)
高田 倫子 中京大学, 法学部, 准教授 (80721042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 連邦憲法裁判所 / ケルゼン / ヨーロッパ化 / 法治国家と民主制 / 方法論 / 三角シンポジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
「連邦憲法裁判所批判」については、ドイツ国法学の大家による評価をStern教授(ケルン大)、Waldhoff教授(フンボルト大、国法学者協会副会長)から、「反批判」をKaiser教授(フンボルト大)、Kaufhold教授(ミュンヘン大)から、訪問調査を通じて聞き取った。この結果を踏まえ、本研究の最後に予定される「三角シンポジウム」の構成を練り上げ、Kaufhold教授に同シンポの「第二角」に加わるよう要請し、了解を得た。A公法学の方法では、文献研究を通じて、一部に事例研究の方法が進められていることを、また、Bumke教授(ブツェリウス・ロースクール)との研究会などを通じ、ドイツで進行するドグマーティク戦後史再考の内容を検討した(ブムケ教授も「第二角」への参加を了承)。B法治国家と民主制の関係、Cヨーロッパ化では、文献研究と訪問調査から、ヨーロッパにおけるポピュリズムの勃興を契機として、ドイツ連邦憲法裁判所と、欧州司法裁判所、欧州人権裁判所、各国憲法裁判所との「対話」の必要性が強調されていることを確認した。この内容は、「三角シンポジウム」に生かされる。 「古典の再読」では、ケルゼンとイエッシュの関係、イエッシュ受容の文脈、ケルゼンの研究視点の省察、神学と哲学という観点からのシュミット再把握、「職務」を通じたスメントの再評価などについて研究を進め、成果をあげた。 オーストリアについては、Lienbach教授(ウイーン経済大、連邦憲法裁判所判事)にインタビューするなどして、ドイツとは異なる裁判所のあり方、裁判所と政治部門の関係、比較的最近にEU加盟したことに伴う独自のヨーロッパ化への対応などを確認した。 フランスについては、訪問調査等の結果、ドイツの憲法裁判、公法学への関心が増大し、比較法的研究が盛んになっていることが確認され、それについて日本でシンポジウムを行う計画を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「連邦憲法裁判所」批判をめぐっては、ドイツ国法学の大家による評価を、法治国家論の大家Kunig教授(ベルリン自由大名誉教授、トュルク・アルマン大<トルコ>教授)を招き、研究会を開催することを通じて検討することを計画していたが、トルコをめぐる政情の変化の故に、訪日、ドイツでの会談が不可能になった。その代わりに、1970年代~90年代のドイツ国法学を代表する教科書の著者であるStern教授と、現在ドイツ国法学者協会(日本の公法学会に相当)副会長であるWaldhoff教授に訪問調査を行うことで補った。また、特に方法論に関する議論を検討するために、Bumke教授の招待・研究会開催を計画したところ、同教授が、勤務先で緊急に責任ある地位を代替することとなり、訪日が遅れた。その間も、教授との連絡を密にし、研究会での報告原稿をあらかじめ検討するなどして、研究の進展に支障が出ないように心がけた。 「連邦憲法裁判所批判」の検討については、ポピュリズムの勃興、裁判所間の「対話」という、B法治国家と民主制の関係、Cヨーロッパ化をめぐる、計画時に想定していなかった論点を獲得することができ、大きく進展した。「古典の再読」については、特にイエッシュをめぐる研究が想定以上に進み、それが「三角シンポジウム」でも重要な切り口となり得ることがはっきりした。 フランスについては、現地調査が遅れたが、結局、日本でのシンポジウムは、計画通りの時期に開催できる目処がたった。オーストリアについては、計画時に想定していた以上に、ドイツとの対照を明確化できそうである。 計画通りに行えなかった所、あるいは、計画より遅れた所もあるが、計画以上に進んだ部分もあり、全体としては、おおむね順調に進展していると言い得る。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画において、特に重要なのは、「三角シンポジウム」を成功させることである。そのためには、今後ともシンポジウムの内容を順調に練り上げていくとともに、参加者(報告者とコメンテーター)、特に「第二角」に、「第一角」(Jestaedt教授<フライブルク大>、Lepsius教授<ミュンスター大>、Moellers教授<フンボルト大>、Schoenberger教授<コンスタンツ大>)に匹敵する参加者を得ることが肝要である。すでに、Bumke教授とKaufhold教授という有力な研究者の参加を確実にしたが、テーマからしてドイツ連邦憲法裁判所判事を兼ねる研究者の参加を得たいところである。何人かの判事が候補者としてあがり、先方も本研究、「三角新シンポジウム」に興味を示しているが、担っている役職の都合上、日程の確保が簡単ではない。有力な二人の判事の確保に注力し、そのために、必要ならば開催時期は柔軟に考え、四年計画の三年目開催にこだわらず、最終年度開催も考慮したい。 「三角シンポジウム」では、当初、「第一角」の四名の研究者の報告に対して、「第二角」、「第三角」(日本側)からコメントし、議論することを予定していた。しかし、シンポジウムをより有意義なものとするために、「第二角」、「第三角」からも、コメントだけではなく、報告を行うことが望ましいと考えるに至った。ドイツでの論争(「第一角」対「第二角」)に対して、的確な切り口を提供し、それを活性化させることが可能となるように、「第三角」からの報告を準備していきたい。 オーストリアからの把握にかかる研究について、研究者を招請し、研究会を開催することを計画しているが、憲法裁判所に関する議論のみならず、ケルゼン研究に通暁した、オーストリアを代表する研究者を招くことができるよう、努力したい。
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Research Products
(18 results)