2017 Fiscal Year Annual Research Report
国際経済協定に基づく貿易と投資の紛争解決基準と国家の公共政策空間の横断的研究
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17H02456
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
川崎 恭治 成城大学, 法学部, 教授 (70204708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 一樹 福岡大学, 法学部, 講師 (10781784)
森川 俊孝 成城大学, 法学部, 名誉教授 (50017597)
石川 義道 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (90749061)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際経済法 / 紛争解決基準 / 持続可能な発展 / 投資仲裁 / WTO / 国際司法裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は当初の「研究実施計画(~平成30年3月31日)」に従って,投資条約仲裁,世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度,国際司法裁判所(ICJ)において問題とされた「紛争解決基準」または「審査基準」について,またそれらの議論の前提と位置付けられる理論的枠組みについて,研究代表者,分担者,そして協力者がそれぞれ分析・検討を行ってきた。その上で,各自の研究の進捗状況について報告を行い,かつ研究内容についてメンバー間で議論を深めるべく,平成29年度は3回の研究会(打ち合わせ)を成城大学において開催した(それぞれ2017年6月24日,同年10月14日,2018年3月24日に実施)。具体的な研究・作業実績として,以下のものが含まれる。 (1)本研究全体の方向性を示すものとして,国際法における「持続可能な開発sustainable development)」概念について理論的検討かつ事例分析が行われた。 (2)投資仲裁におけるアンブレラ条項,投資家対国家紛争処理(いわゆるISDS)における管轄権に関する基準,準拠法選択の基準およびその役割について,理論的検討および事例分析が行われた。 (3)国際通商法(とくにWTO)と国際投資法という2つの分野間の理論的関係について検討を行うと共に,家畜伝染病と国際貿易との関係が争点とされたWTOにおける事例検討を行い,そこでの紛争解決基準について検討・分析が行われた。 (4)経済連携協定において加盟国に認められる公共政策の問題として,環太平洋パートナーシップ協定(いわゆるTPP協定)や日・EU経済連携協定などで設けられる投資章,環境章,労働章について分析が試みられた。さらに国際司法裁判所(ICJ)における近年の2つの案件(捕鯨事件,パルプ・ミル事件)の比較分析を通じて,共有資源の利用を巡る国家の信義誠実義務に関する諸問題について検討・分析が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように(「研究実績の概要」を参照),当初の研究実施計画に従って,初年度は国際投資,国際通商,一般国際法の各分野において各担当者がそれぞれ検討を進めており,加えて本研究全体を包含するような理論的分析にも既に着手されているところである。また各自の進捗状況は定期的に開催される研究会において確認し合っている。そのため現時点ではおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,本科研費申請時の「研究計画・方法」において記載したとおり,引き続き投資条約仲裁,WTO紛争解決制度,国際司法裁判所等における「紛争解決手続」および「審査基準」の諸問題について,事例および理論の両方の観点から研究メンバーがそれぞれ分析・検討を進めて行く予定である。そして前年度と同様に,定期的に研究会を開催することで各々の研究の進捗状況を確認し合うと共に,議論を深めていく予定である。なお来年度以降は,「分野横断的な分析」を本格的に開始していく予定であるところ,それに向け各分野における検討結果をお互いに対比させることで,少しずつ頭の体操を開始する。これに加えて本年度は,本研究全体の骨格と位置付けられる理論的な枠組みについて,特に国際法における「持続可能な開発」概念の分析を中心に,検討を行っていく予定である。 また前年度と同様に,研究成果については主に学術論文,学会・研究会での報告を通じて(国際学会を含む),積極的に発信していく予定である。
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Research Products
(4 results)