2020 Fiscal Year Annual Research Report
多文化主義政策はいかにして受容されるか:政策決定過程に注目した理論的・国際的研究
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17H02476
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 康夫 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20197685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常本 照樹 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (10163859)
木部 尚志 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10310327)
新川 敏光 法政大学, 法学部, 教授 (30216212)
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40398912)
樽本 英樹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50271705)
五野井 郁夫 高千穂大学, 経営学部, 教授 (50586310)
吉田 徹 北海道大学, 法学研究科, 教授 (60431300)
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 教授 (90459016)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多文化主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
民族的マイノリティの統合の手段としての多文化主義政策は、諸国の政策実務において支持を広げてきたが、近年のポピュリズムや排他主義により、実施が妨げられつつある。本研究は、政策過程における「熟議」を通じてこれを克服する可能性を、各国の事例にそくして検証するものである。最終年度にあたる2020年度は、前年度までの作業をふまえ以下の作業を行った。第一に、過去数年に、ポピュリズム・排他主義関連の研究が大幅に進展しており、その知見を取り入れつつ、当初の分析枠組みに改善を加えた。第二に、これに照らして、多文化主義をめぐる各国の政治過程の検証をおこなった。コロナによって海外との往来や研究会の対面開催が困難になったが、オンラインで代替して作業を行った。これらの作業を通して、以下の知見を得た。第一に、トランプ政治やBLM運動に見られるように、諸国において政治的分極化が進展し、それらが基本的政治制度を迂回して、マイノリティ政策に影響を与えつつある。しかも、これらの運動は、「政治的なるもの」の要素を含んでおり、自由民主主義の基本制度の正統性を揺るがす性格をもっている。第二に、このような観点に照らして、各国の政治過程を検証した場合、多文化主義政策を実現してきた政治的回路にも、影響が及んでいることが確認される。すなわち、従来、多文化主義政策は、審議会、政府=団体間交渉、司法手続きなど、多数派形成政治とは異なる場において形成されることが多く、そこに熟議の空間を確保することが可能であった。これらの回路が依然として機能している事例がある反面、その正当性が減じられ、当事者の協力を得られない、その決定が尊重されない、などの事例も現れている。第三に、このような現象をふまえ、社会的分極化を緩和しつつ、多文化主義政策を実施するために、「政治的なるもの」を、決定決定から実施にいたる過程に組み込んでゆく必要を認識した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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