2019 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける研究開発系専門職の職域連携による集合知:知識移転と社会的流動性
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17H02572
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤本 昌代 同志社大学, 社会学部, 教授 (60351277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 博淳 山梨英和大学, 人間文化学部, 教授 (70781235)
東 秀忠 山梨学院大学, 経営学部, 教授 (50583267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日仏比較 / 産業集積地 / イノベーション / 大学発ベンチャー / ボトムアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)総括 ・・・ コロナ禍のため、渡航による待期期間の長さと校務との関係でスケジュール的に日本チームがフランスに渡航することは困難であった。しかし、日本での調査の追加、オンライン会議によるフランスの共同研究者への調査の依頼、そして、これまで調査してきた内容の記述、出版、公開を行った。 (2)追加調査について ・・・ 日本では藤本・野原・東・池田により、浜松産業クラスター、川崎産業クラスター、唐津産業クラスターに2021年度の状態について、メール、オンライン、対面で追加の聞き取り調査を行った。フランスでは、研究分担者の野原により、共同研究機関であるCereqが行っているデータの分析方針についての打ち合わせ、および、Aix-en-Provence地域に関する周辺の情報収集を行った。Toulouse地方の産業集積地の調査は共同研究者であるEric JOLIVET教授が実施した。 (3)調査成果の出版 ・・・ 調査を実施した産業クラスターの事例を研究ノート、論文にまとめた 。2020年度に引き続き、2021年度にも浜松産業クラスターに関する研究ノート 1本、唐津産業クラスター 1本、フランス産業クラスター 1本(現在印刷中) を出版した。 (4)コロナ禍の産業クラスター調査結果の発信 ・・・ 2019年に藤本・野原・池田で調査を行った京都の産業集積地に対し、2020年のコロナ禍の影響を調査し、その結果を報告書にまとめ、シンポジウムで発信した(現在、印刷中の原稿あり)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度から始めた日仏の産業クラスター研究プロジェクトは、日仏の産業クラスターで光・通信産業、ナノテクノロジー、コスメティック技術を比較するために調査を行った。2017年度にフランスのAix-en-Provence周辺の産業クラスターで重要な存在であるST-Microからスピンオフし、多くのベンチャー企業の中心的存在であるIC技術で有名なGemaltoを調べた。 2018年度は日本では浜松地域の静岡大学、浜松ホトニクスを中心に浜松市が注力する光・通信産業クラスターに数回調査を行った。川崎の産業クラスターは、行政が中心となって推進するナノテククラスターであり、川崎市と東京大学からこのエリアに研究拠点を置く研究チームを中心に調査を行った。そして佐賀県唐津市のコスメティッククラスターでは、フランスの多くの化粧品会社が日本への輸出の際のゲートキーパー的役割を果たしている品質管理技術を誇る民間企業を中心としたクラスターを調査した。民間企業の技術力によってできたクラスターを行政が支援する形になっている。フランス調査では、前述の南仏の産業集積地のGemalto、ベンチャー企業へのインタビューにより、ルーツ企業からの発展パターンを発見している。 2019年度は、2018年度に行った日仏両方の産業クラスターへの追加調査を行い、それぞれの技術的中心人物だけでなく、運営のキーパーソンへのインタビューを行い、運営に従事する行政官の存在、しくみを調べた。 2020年度、2021年度は日本の調査、フランスの調査をまとめた原稿の執筆を行った。2020年度はコロナ禍の影響で研究は滞りがちであったが、原稿執筆に努めた。2021年度は対面、オンライン会議、メールを使用し、調査を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトは、2022年度を最終年度と位置づけ、9月にフランスで追加調査を行い、それを加えて、本プロジェクトの研究成果としての原稿を仕上げたい。2022年度中に英文での原稿を整えたい。ただし、2022年度内は原稿を整えるまでのスケジュールで年度が終わることが予想される。出版に向けての校正等は2023年度に行う予定である。 また、研究成果の発信は、日本とフランスの両方で行いたいと考えており、2023年1月にフランスで日本から研究者が出向き、日仏比較の研究成果を発表する予定である。そして2023年3月には冬にフランスから共同研究者を迎えてシンポジウムを行いたい。
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