2017 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological Study and Research on the formation of new roles and functions of nonprofit organizations in case of disaster
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17H02592
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安立 清史 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (40192968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 全夫 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 特任研究者 (40041016)
高野 和良 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20275431)
黒木 邦弘 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (60369832)
益田 仁 中村学園大学, 教育学部, 講師 (20551360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 災害 / NPO / 社会福祉法人 / 支援 / 民間非営利組織 / 老人福祉施設協議会 / 社会福祉協議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害が多発する現在、災害にたいする制度的な整備やシステムづくり、対応マニュアル作成などは盛んに行われている。しかし災害という予測しがたい困難を引き起こす事態に対して法制度やシステムづくり、マニュアルや訓練だけで対応できるはずもない。むしろインフォーマルに湧き起こる自発的な支援をどのように豊かにしていくかも重要なカギとなる。今年度の調査研究は、民間の非営利組織の活動に焦点をあて、中心的なアクターとなった方々へのインタビューを積み重ねた。また熊本県西原村での復興イベントに参加して聞き取りを重ねたり、被災した熊本県の介護老人福祉施設への訪問聞き取り調査などを行った。平行して、福岡県老人福祉施設協議会から熊本県で被災した老人福祉施設協議会視察へと介護職が派遣された経緯を、福岡県老人福祉施設協議会の中心メンバーの方々に複数回の聴き取り調査を実施した。その結果、福岡県老人福祉施設協議会の協力をえて、福岡の社会福祉法人87施設から熊本県の介護施設12カ所へと派遣された合計175名を対象母集団として、派遣の経緯や実態、どのような支援を行ったのか、問題や課題は何かを明らかにするためにアンケート調査調査を実施した。熊本学園大学が自主的に展開した大学の講堂を開放しての自主的な避難所運営についても訪問したり様々な角度から聞き取りを行って、災害時の避難所の運営についても考えた。とくに注力したのは、福岡県老人福祉施設協議会から派遣された介護職員へのアンケート調査である。これは2016年の熊本地震に際して、福岡県老人福祉施設協議会の施設から被災した熊本県老人福祉施設協議会の施設への職員の派遣を行った福岡県老人福祉施設協議会加盟の施設87から派遣された合計175名を調査対象母集団としてアンケート調査を実施したものである。調査研究成果の一部は、九州大学・共生社会学紀要に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査研究はおおむね順調に進捗している。まず熊本地震にさいして民間非営利組織として宮崎県と協力して支援を行ったNPO法人宮崎文化本舗の代表と副代表(石田達也氏および井上優氏)へのヒアリングおよび熊本県西原村へのNPO法人宮崎文化本舗の支援の実態を、現地にともに出かけてリサーチした。被災地NGO 恊働センターの鈴木隆太氏にも、現地を案内いただき、NPO法人などによる被災地支援の具体的な活動を把握することができた。さらに水俣市社会福祉協議会を訪問して、水俣市社会福祉協議会がおこなった被災地支援の実態についても責任者の田代久子氏からヒアリングすることができた。社会福祉協議会相互の支援の仕組みについてもリサーチできた。また、福岡県老人福祉施設協議会が熊本県老人福祉施設協議会の施設へ支援した活動実態についても、福岡県老人福祉施設協議会の協力をえて、リサーチすることができた。具体的には福岡県老人福祉施設協議会による熊本支援の枠組みをヒアリングしたあとで、福岡の社会福祉法人87施設から熊本県の介護施設12カ所へと派遣された合計175名を対象母集団として、派遣の経で緯や実態、どのような支援を行ったのか、問題や課題は何かを明らかにするためのアンケート調査調査を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査実績をふまえて、今年度は、以下のようなリサーチに取り組む予定である。 第1に、昨年度は福岡県老人福祉施設協議会の施設から熊本県老人福祉施設協議会の施設への支援と、福岡県老人福祉施設協議会の施設職員へのアンケート調査を実施したので、今年度は、支援をうけた熊本県老人福祉施設協議会の施設へのアンケート調査を実施する。これは、まず、支援をうけた12施設へのアンケート調査として実施する。介護職員の担当となった施設長や事務長へのアンケート調査となる。このアンケート調査によって、支援した側が、ひとりあたり3日間の派遣をしたことについて、受けた側がどのように評価しているのか、全体として、支援活動が、受けての施設にとって、どう評価されているのか、などが明らかになる。 ついで、熊本県の8つの施設の介護職員への意識調査をアンケート調査によって行う予定である。これは、組織と組織の間の支援・受援関係の枠組みではなく、支援をうけた職員個人レベルで、どのような問題や課題があったと認識されているか。さらに、災害の経験や受援の経験を通じて、どのような認知的な成長や変化が生まれたのか、さらに被災経験が、社会福祉の仕事にどのように生かされていくのか、などを調べるリサーチになる。 その他、介護現場の人手不足の問題、外国人介護福祉士や技能実習生の実態や課題、避難所や「福祉避難所」の問題や課題についてもリサーチする予定である。
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Research Products
(14 results)