2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02593
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Research Institution | Aomori Public College |
Principal Investigator |
佐々木 てる 青森公立大学, 経営経済学部, 准教授 (70396597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 泰弘 名古屋学院大学, 国際文化学部, 准教授 (10584352)
近藤 敦 名城大学, 法学部, 教授 (30215446)
柳井 健一 関西学院大学, 法学部, 教授 (30304471)
陳 天璽 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40370142)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
鈴木 江理子 国士舘大学, 文学部, 教授 (80534429)
佐藤 成基 法政大学, 社会学部, 教授 (90292466)
大西 広之 四国大学, 附属経営情報研究所, 研究員 (20795801)
明石 純一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30400617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重国籍 / 市民権 / 複数国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は予定していた4回の研究会(7月、10月、12月、3月)を実施した。第1回は概要および「重国籍をめぐる具体的な問題」、第2回は「英国における重国籍制度とその影響」、「国籍を離脱されない自由」、第3回は「スイスで生活する重国籍者の事例」「アメリカ合衆国における重国籍制度」「戦後日本における中華民国国籍保持者の境遇と「重国籍」の発生」、第4回は「複数国籍を求める当事者運動の模索―国籍法学習会の取り組みをめぐって」「複数国籍の増加傾向と諸課題」のテーマで研究会が実施された。 研究会では共同研究者による専門領域の報告およびゲストスピーカーによる報告が行われた。日本の現状に関しては、重国籍者をめぐる社会問題について、特に重国籍批判が噴出した背景について考察がなされた。また日本において国籍問題を抱える人々や、国籍剥奪に伴う訴訟に関する事例報告などがおこなれ、まさしく現在進行形の問題であることが確認された。なお重国籍問題の発端となった、蓮舫氏の事例に関する解説なども行われた。 海外の事例に関しては、アメリカの重国籍制度に関する背景、イギリスおよびヨーロッパの重国籍にかんする制度紹介などが行われた。特に欧米諸国では複数国籍を保持することがほぼ認められているという点は今後の国籍制度の改正にむけた重要な指摘となった。 これらの研究会の成果は、「国際結婚を考える会」などの学習会での報告、重国籍をめぐる訴訟のための資料提供など、現在困難を抱えている人々への直接的、間接的支援につながっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度4度の研究会を通じて、参加者を含め重国籍、もしくは複数国籍制度に関する知識が格段に増えた。特に欧米においていかに複数国籍を保障する制度が重要であるのかが明らかになった。これら研究会で得た知識は、研究代表者および共同研究者の業績となって徐々にあらわれていることも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も全4回の研究会を予定している。それぞれの研究会での報告者はほぼかたまっており、ドイツの事例、東アジアの事例、法律上の問題、市民権の問題など具体的な報告が予定されている。また本年度行われる移民政策学会のミニシンポジウム、および日本社会学会でその成果の一部を報告する予定でいる。それらの研究報告を通じて、日本社会における重国籍制度に関する正しい知識の普及と、法改正を促す基礎研究の積み重ねを行っていく予定である。 さらに本年度は調査として、アンケートによる重国籍もしくは複数国籍に関する社会意識調査を行う予定である。このための準備は徐々に行っており、12月をめどにWebにて行う予定である。この問題に関して日本社会ではどのように受け止められているのか、そして自分が当事者である場合どのような不安を持っているのかなど、様々なことが明らかになると考えられる。
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