2017 Fiscal Year Annual Research Report
"The goal of prewar social work and perspectives for today: Tracing the origin of the welfare state "
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17H02615
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
今井 小の実 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20331770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 友紀 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00410481)
杉本 弘幸 佛教大学, 社会福祉学部, 非常勤講師 (10625007)
杉山 博昭 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (20270035)
樋田 幸恵 淑徳大学短期大学部, 健康福祉学科, 講師 (50348140)
小池 桂 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (50461348)
元村 智明 金城大学, 社会福祉学部, 准教授 (60340022)
田中 和男 同志社大学, 人文科学研究所, 人文科学研究所 (80571413)
池本 美和子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90308932)
田中 亜紀子 三重大学, 人文学部, 教授 (90437096)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先行研究の整理 / 史資料収集 / 共通認識の形成 / 専門知識の享受 / 社会事業史研究 / 学際的研究交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦前日本の社会事業の到達点を共同研究により多面的・多角的に明らかにしようとするものである。初年度にあたる2017年度は、①研究課題についての共通認識の形成、②個別研究として先行研究と史資料の収集と精査を掲げ、隔月の定例会と研究合宿を開催することを計画した。この研究計画にしたがって、本年度は5回の定例会と山口県で2泊3日の研究合宿を実施した。 第1回(通算64回)定例研究会は、4月22日に実施し、昨年度から研究会で輪読している文献の1つ(郡司淳『軍事援護の世界』)をメンバーの杉山博昭氏が紹介し、共通基盤となる知識の修得に努めた。第2回研究会以降は、ゲスト講師も招聘し、共通知識の深化につなげた。具体的には、6月25日に経済史研究者である千本 暁子氏(阪南大学経済学部教授)を招き、「近代日本における女性の働き方・生き方の変化」をテーマに講演していただいた。第3回研究会は8月21日に実施し、ゲスト講師に村上貴美子氏(関西福祉大学 大学院客員教授)を招き、「社会福祉学構築に向けて-その出発点としての歴史研究-」をテーマに講演していただいた。第4回研究会は、個別研究報告としてメンバーの中尾友紀氏が、現在の研究の進捗報告を含めたプレゼン「公的年金制度創設の草創期における議論」を実施した。第5回研究会は12月10日、ゲスト講師に大友昌子氏(社会事業史学会会長)を招き、「植民地社会事業史研究をとおして考える日本の『福祉国家』の源流」をテーマに報告をしていただいた。 全5回の研究会では、それぞれ報告後に1時間程度の議論の場を設け、共通認識の形成につとめた。また(2018年)2月18日~20日まで山口県にて研究合宿を行い、参加したメンバー全員が今年度に行った研究の成果報告を行い、共同研究の方向性と各研究者の役割を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画について、先の研究実績の概要でも報告したように、5回の定例研究会、2泊3日の研究合宿を行い、ほぼ予定通りの計画を実施している。 本研究は、社会福祉の歴史研究者を中心に、歴史学、法学、政治学のメンバーが集結した学際的な共同研究によって進められている。そのため、共通した研究の枠組み、そして土台となる共通認識の形成が重要となる。共同研究の開始時期となる今年度に、外部講師を招き、専門的知識の提供を受け、議論を行うことによって、共通の知識と認識、理解を深めることができた。またそれぞれが先行研究の精査、史資料の収集など、本格的な研究開始に向けた材料の準備に努めるという計画も、予定通り実施されていることが、研究合宿で確認できている。 ただ当初の予定より多く外部講師の招聘を行ったために、個別の研究状況について詳細に踏み込んだ議論が少々手薄になった感は否めない。次年度はこのような反省点にたち、外部からの専門知識の供与は最小限にとどめ、各研究者の研究の伸展に注意を払っていきたい。また歴史研究ではすぐに結果は出せないために、今年度、各メンバーが公表した研究成果(学会発表、論文など)はその研究活動に比し、控えめなものとなっている。この点についても、徐々に史資料が集積されるようになる次年度以降は少しずつ、研究成果の公開を促すようにつとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の通り、初年度は共同研究のための共通土壌作りに重点を置いていたこと、また個人研究のレベルでは先行研究や史資料の収集という基礎作業を行う期間であったために、各研究者の研究推進については、あまり関心を払えなかった。今年度も個人研究は、先行研究の整理や史資料の収集と精査、フィールドワークの実施という基礎作業が続く。計画ではその成果を実際に報告していくのは3年度目からと計画している。 すぐに成果が出せない歴史研究においては、成果の報告について時間差が生じるのは仕方がないとして、確実に3年度目以降、成果報告が学会、学界、社会において実施できるように、研究代表者がマネージング力とリーダーシップを発揮する必要があると考える。具体的には、2018年度からは外部講師による専門知識の提供は少し控えめに計画し、その分、各研究者の研究の中間報告を実施し、議論を通じて精度をあげ、学会発表や雑誌投稿に耐えられるだけの研究の完成をめざすように、メンバー全員によるサポート体制を強化していけるようにしていきたい。
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Research Products
(14 results)