2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness and feasibility study of the Japanese version of complicated grief treatment (J-CGT)
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17H02645
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
中島 聡美 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20285753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 明美 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (00425696)
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (20510382)
竹林 由武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00747537)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
田中 英三郎 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, こころのケアセンター, 主任研究員 (20743040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複雑性悲嘆 / 認知行動療法 / J-CGT / パイロットスタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
悲嘆が長期遷延化した状態である複雑性悲嘆(Complicated Grief,CG)に対して、Shearらの開発した認知行動療法(Complicated Grief Treatment, CGT)が有効であることが報告されている(Shear, 2005, 2014)。我々は、このCGTが日本人にも有効であることを対照群をおかない前後比較試験で検証した。本研究は、この結果をもとに、より日本の臨床現場で実施しやすい形に修正した日本版複雑性悲嘆療法(Japanese version of Complicated Grief Treatment,以下J-CGT)を開発し、その有効性、安全性、実施可能性について予備的に検証することを目的としている。平成30年度は、J-CGTの有効性の検証およびスーパーヴァイズ体制の構築について検討を行った。J-CGTの効果の検証にあたっては、重要な他者との死別を経験した人で複雑性悲嘆を主訴とするものを対象に、J-CGTを多施設(武蔵野大学、国際医療福祉大学、国立精神・神経医療研究センター、兵庫心のケアセンター)で実施し、対照群をおかない単群の前後比較試験を行った。研究の実施にあたって、各治療施設の倫理審査委員会の承認を得て、UMIN-CTRに登録した(UMIN000029930)。また、被験者のリクルートのためウエブサイトの作成を行った。平成30年度では、4例が登録し治療を完遂した。現在のところ、4例中3例では顕著な複雑性悲嘆症状、うつ症状の顕著な改善が認められた。1例においては、症状の悪化は見られなかったが、複雑悲嘆症状の改善はみとめられなかった。また、2例は2週間に1回の治療間隔であったが、複雑性悲嘆、抑うつ症状ともに顕著に改善し、週1回のプログラムと改善傾向に違いはみられなかった。現在のところ、重篤な有害事象は見らていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度では、10例の症例登録を目指していたが、2例の新規登録にとどまった。理由として、研究代表者の異動があげられる。代表研究者の異動により、研究全体の事務局体制の構築が必要となり、また統括機関の変更のため、倫理委員会への変更申請などに多大な時間を要した。そのため、HPの原稿についても大きな変更が必要となり、HPによる被験者のリクルートが実施できなかった。一方、平成30年度より兵庫県心のケアセンターが治療機関として加わったことで、関西の被験者のリクルートが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、J-CGTのパイロットスタディの最終年度であることから、16例の複雑性悲嘆遺族の治療登録を目指している。すべての治療施設での倫理審査の変更が終了したことと、また被験者リクルート用のウエブサイトの作成がほぼ終了したことから、平成31年度においては、HPを開示し、多くの被験者の登録を目指す。また、J-CGTの治療マニュアルを策定し、より治療が円滑に行えるようにする。治療者の育成のためにもスーパーヴァイズ体制の構築も推進していく予定である。
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