2018 Fiscal Year Annual Research Report
The validation of the college impact theory by the IR and construction of the STEM evaluation model
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17H02657
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 淳 北海道大学, 総合IR室, 特任准教授 (00374645)
鈴木 久男 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20192619)
山田 邦雅 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (30399802)
藏崎 正明 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (80161727)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IR / STEM教育 / 教学評価 / カレッジ・インパクト理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)対象データの収集と分析:これまで収集したデータは,大学基本情報,学生の成績,学生による授業評価,学生の学習状況調査である。これらから,高校時代の経験とGPAに相関が認められる場合があった。この分析結果は2019年度に報告する予定である。 2)組織の在り方についての検討:IRシステムの大学における,組織上の配置や,その期待される役割を研究期間内で抽出する。初年度は研究大学でのIR組織,地方公立大学でのIR組織,中央官庁におけるIR組織を調査対象として,米国のIR組織(MIT,ニューヨーク市立大学,米国立教育統計センター)の訪問調査を行った。そこから,本年度は報告書にまとめ,IRのモデルとして評価するが提言はしないMITのシステムが望ましいと考察した(宮本他 2019)。 3)アンケート項目の再検討:データ収集の基礎となるアンケート項目を再検討するために,現在米国で使用されているアンケート項目を日本語に翻訳するとともに,比較検討し,報告した(細川他 2019)。 4)IRデータの解析手法の検討:大学IRコンソーシアムで得られたビッグデータを使い,学生をその行動特性(アルバイトと部活動の有無)から4グループに分類し,その構成比率により大学を6つに分類した。これら大学間の差異を分析し,分類の有効性などについて報告した(山田他 2019)。 5)初年次教育へのSTEM教育の導入:初年度教育におけるSTEM教育を検討し,試行した。数学への依存度を少なくするとともに,科学全般の知識をカバーする科目に,最新のアクティブラーニング,e-ラーニング等の新しい教育技術を組み合わせ,実施した。さらに,STEM教育用のテキストを作成し編集し出版した(鈴木他 2018)。また,AAC&Uが開催したSTEM教育の年次総会に出席し,その講演や発表等について報告した(鈴木 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定されていた,在学生の調査を実施し,理系文系に分けて分析した。その成果は2019年度に報告する予定である。また,IRデータの解析手法を発展させるために,大学IRコンソーシアムの8万7千名余におよぶ大学1年生を対象にしたアンケート結果からなるビッグデータを用いて,学生の行動特性によって大学を分類し,その大学間の差異を分析し,報告した(山田他 2019)。さらに,IR活動のベースである学習状況アンケートについて再検討するために,米国で現在使われているアンケート項目を翻訳した後,リストアップして韓国や日本のアンケートと比較した分析結果を報告した(細川他 2019)。 研究大学でのIR組織,地方公立大学でのIR組織,中央官庁におけるIR組織を調査対象として,米国のIR組織(MIT,ニューヨーク市立大学,米国立教育統計センター)の訪問調査を昨年度行い,その成果を今年度は報告書にまとめた(宮本他 2019)。これより,IR組織のあり方を検討することができた。 さらに,初年度教育におけるSTEM教育のためのテキストを作成し,専門家の監修を受けた後出版した(鈴木他 2018)。その内容は,物理学,化学,生物学,惑星科学を含み30章,A4で250ページからなるものである。加えて,AAC&Uが開催したSTEM教育に関する年次総会に出席し,その講演や発表等について報告した(鈴木 2018)。 このように,IRのあり方についてカレッジ・インパクト理論の検証のみならず,アンケート項目の検討や分析方法の検討も平行して実施している。また,難航を極めたSTEM教育用テキストを出版することができた。以上より,本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Astinのカレッジ・インパクト理論では,大学に入学した学生の過去の環境や成績とともに,大学の資源や学習状況の学生の成長に及ぼす影響を検討し,主な要因を抽出する点に研究の重要性がある。以下の研究で,それが検討される。 北海道大学では2009年からIRシステムによる学習状況調査を導入した。また,大学IRコンソーシアムにも参加し,在学生のうち,1年生および3年生の学習状況調査を継続して実施している。これにより蓄積されたデータには,学習状況のみならず学生のGPA,高校までの学習経歴,大学の施設や教育への満足度,英語能力調査が含まれている。これらのデータに加えて,学習環境を問う卒業時調査,コンピテンシーの習得度合いをたずねる卒業生調査等のデータ収集を加えれば,AstinのモデルのI,E,Oすべてについてのデータを得ることができる。これらの調査は平成29年度に実施し,すでにデータを収集している。また,在学生調査のデータ分析は平成30年度中にも進めてきた。以上のような多面的なデータをもとに,Outs(成果)を指標としてモデルを検証するとともに,成果形成に重要なパラメーターの抽出を行う。以上の分析をもとにAstinのモデルの検証を行うとともに,日本特有あるいは理系特有の学習構造を特定し,報告書にまとめる。 また,昨年度に作成したSTEM教育用テキストを活用した講義を実際に運用し,その評価を行うことで高等教育におけるSTEM教育評価の日本型モデルを確立する。加えて,これまでの経験を元に,IR担当者養成のための研修テキストを制作する。その業務に必要なテキストを制作することにより,日本におけるIRシステムのあり方が示されることになる。
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Research Products
(9 results)