2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナラティブ・アプローチによるコンピテンシー・ベースの小中一貫カリキュラム開発研究
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17H02703
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉川 幸男 山口大学, 教育学部, 教授 (40220610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿濱 茂樹 山口大学, 教育学部, 准教授 (00361973)
佐伯 英人 山口大学, 教育学部, 准教授 (30457296)
藤上 真弓 山口大学, 教育学部, 講師 (40737566)
吉田 貴富 山口大学, 教育学部, 教授 (50274147)
坂東 智子 山口大学, 教育学部, 准教授 (60634764)
岸本 憲一良 山口大学, 教育学部, 教授 (90437616)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小中一貫 / カリキュラム / 授業研究 / 資質能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はまず、小中一貫教育に関する県内外の動向調査を行った。具体的には県内に関しては山陽小野田市立厚狭小中学校、防府市立富海小中学校、萩市立福栄小中学校及び自治体単位のものとして田布施町の場合、県外に関しては平成30年1月に京都で行われた小中一貫教育全国サミット、同2月に行われた国立教育政策研究所教育課程研究センター関係指定事業研究協議会への参加を通して動向を探った。その結果、いずれの事例もその所在地・地域の実情を踏まえて最も必要かつ可能な在り方が、カリキュラムレベルから実務レベルにわたり多種多様に試みられていることが明らかになった。まず地域の教育課題や学校運営上のニーズを適確にとらえることが何より求められる。 こうした点を念頭に、我々は研究対象校としての附属光小中学校教員の行う授業づくりの課題や改善の試みに関し、日々の研究授業の設計や協議に加わることを通して、そこに見られる課題意識や設計上の難点と考えられていることを引き出すことを試みた。その結果、学習の系統性に関する問題、習得するスキルに関わる問題、資質能力面からみた教科の本質に関わる問題、小中の段階差に関する問題などが現れ、我々は教科等の各領域ごとにこうした問題に取り組み、地域の附属学校として最も基底となる各教科の授業実践からのカリキュラム構成に資する知見を、まだ領域限定的ではあるが得ることができた。さらに、研究分担者間でこうした成果を年度末に情報交換し合う中で、教科横断的な資質能力の存在が特に意識されるようになり、教科・領域固有のものと教科・領域を超えた普遍的なものとのカリキュラム的整合性を図ることの必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画に上げた6項目については、以下のように概括することができる。 ①県内外の動向調査に関しては、想定していた県内の取り組み事例や県外の諸実践事例の情報に加えて、コンピテンシー育成をめぐる教育研究における議論の動向に関する情報を得ることもでき、きわめて順調に進展した。②学習指導要領・教科書のデータ分析、及び③対象校の児童生徒に関する学習意識調査に関しては、それ自体を単独で直接行うことは実施しなかった。このため経費的には「人件費・謝金」がほとんど支出されなかった。実施しなかった理由は、次の④及び⑤の項目と連動させて行う中で十分抽出可能と判断したためである。なお教科・領域によっては分担者の判断で②または③に重点を置いたアプローチも一部行われた。 ④附属光小・中学校の授業研究に関する意見交換は、教科・領域によってはそのまま⑤の段階にまで進展するほど順調に経過した。一部の教科・領域では学校側の教員の事情で困難な場合もあったが、年度固有の事情のため次年度には問題ないものとみられる。⑤授業者との語り合いからの中長期的なカリキュラム設計は、研究分担者の担当する教科・領域によって進展の度合いは様々であるが、いずれにおいても着々と知見が蓄積されつつあるとみられる。⑥教科固有及び通教科的な資質能力の形成については、特に後者については次年度以降の課題となった。ただ設備面ではタブレット機器を1クラス分導入することができ、次年度の実践的研究に向けて、機器を通して学びの振り返りを蓄積することが可能になっているため、今後の進展が十分期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ順調に推移しているため、研究計画の大幅な変更予定はない。ただ、教科横断的及び通教科的な資質能力については、これをカリキュラムにいかに反映させてゆくかは今後の推進に重要な検討課題になると考えられる。これについては各教科と総合的学習や特別活動との関連をさらに有機的にはかるような設計が必要になるが、この点について附属学校側との語り合いをより深化すべく進めてゆく。
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Research Products
(18 results)