2017 Fiscal Year Annual Research Report
論理的思考力・表現力育成のための幼小、教科間連携、国際比較によるカリキュラム開発
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17H02707
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
河野 順子 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (80380989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 孝広 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (00190778)
山崎 浩隆 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20555768)
鶴田 清司 都留文科大学, 文学部, 教授 (30180061)
藤瀬 泰司 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30515599)
石沢 順子 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40310445)
神永 典郎 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (50586386)
緒方 信行 熊本大学, 教育学部, 教授 (60535714)
細川 太輔 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70738228)
中村 久美子 (土橋久美子) 白百合女子大学, 人間総合学部, 講師 (70745760)
古賀 洋一 島根県立大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00805062)
目良 秋子 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (20349145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 論理的思考力 / 表現力 / 幼小連携 / 教科間連携 / 国際比較 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
新学習指導要領が公布され、アクティブ・ラーニングという方法論が注目されている。アクティブ・ラーニングの学びが形式化されては社会に生きる力の育成は難しい。ここには、思考力の育成が必要なのである。河野は平成23年度の科研から一貫して論理的思考力の育成を教科間連携・幼小中連携によって追究してきた。その結果、教科間を横断していく論理的思考力として根拠・理由付け・主張の三点を抽出し、その発達も明らかにしてきた。今回は特に幼小の連携を強化し、論理的思考力育成の発達をさらに明らかにすると共にアクティブ・ラーニングによる主体的・対話的な深い学びを実現する授業改革の視点を明確にした幼小・教科間連携による論理的思考力・表現力育成のカリキュラム案の整備と授業提案を行う。特に、PISA調査でも独自の成果をあげている台湾の幼小連携教育との比較研究から新たな知見を見い出すことを目的に行ってきた。 本年度は、台湾の研究者、実践者による保幼小連携研究との共同研究・比較研究を加え、論理的なコミュニケーション能力育成のための基盤調査をさらに重ねた。 具体的には、2017年7月に台湾の研究者を招聘し、日本の研究者との研究会を開催した。また、2018年3月に研究代表及び研究副代表の二人が台湾へ赴き、台湾の連携研究者と共に幼稚園、小学校の参与観察を行った。2018年3月には新学習指導要領シンポジウムを白百合女子大学にて開催し、研究の公開を行った。以上のような実績を通して、幼稚園から小学校6年間を通して、日本でのこれまでの研究の蓄積と台湾での調査・実験による知見を加えていった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、台湾の研究者、実践者による保幼小連携研究との共同研究・比較研究を加え、論理的なコミュニケーション能力育成のための基盤調査をさらに重ねることを計画したが、この計画を順調に行うことができた。まず、台湾の研究者である臺北教育大学の翁麗芳教授、洪教授に7月に来日していただき、白百合女子大学において、台北の論理的思考力育成の現状、幼小連携の課題についてご講演をいただき、課題を共有した。そして、3月に台湾へ研究代表である河野と副代表である鶴田とで行き、翁麗芳教授と共に幼稚園、小学校の視察を行い、データを得ることができた。そのデータをもとに台湾における幼小の論理的思考力・表現力育成の基盤データを得ることができた。日本においても熊本・山梨・島根との連携研究が順調に進み、カリキュラム開発のためのデータの蓄積が順調に進んでいる。また、東京において、毎月一回の実践現場との共同研究も進んでおり、カリキュラム案の蓄積ができている。3月には、新学習指導要領シンポジウムを文部科学省の講演もいただき、これまで実践現場との共同で進めてきたカリキュラム開発の一端を公開し、好評を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の台湾の研究者、実践者による幼小連携研究との共同研究を継続すると共に、これまでの日本での幼小連携研究の成果との比較研究を行い、統合的分析による,論理的思考力・表現力のカリキュラムの整備を図る。この際、特別支援を要する子どもたちに対する論理的思考力・表現力のつまずきを明らかにし、カリキュラムの整備を行っていく。さらに、論理的思考力・表現力育成のための教科横断的カリキュラムの開発と授業提案を行う。具体的には、第1点目に、国語科が中心に行ってきた論理的なコミュニケーション能力の育成のためのカリキュラム案の精緻化を図る。これまでの日本での論理的コミュニケーション能力の発達研究を基盤にしながら、台湾での調査、実験研究で得たデータを加えて、幼小の接続を重視した論理的なコミュニケーション能力育成のための研究の基盤づくりを行う。具体的には、台湾と日本の保育幼稚園教育におけるコミュニケーション能力育成のための環境づくり、関係づくりを視点にしながら、論理的コミュニケーション形成の基盤としての相違点を明らかにする。さらに、小学校教育におけるコミュニケーション能力育成のための環境づくり、関係づくりを視点にしながら論理的コミュニケーション能力育成のための研究基盤づくりを行う。と共に、これまで用いてきたトゥールミンの論証モデルを用いた調査を台湾において行い、これまで積み上げてきた日本の小学校における論理的なコミュニケーションの発達との比較研究を行う。第2点目に、論理的なコミュニケーション能力のカリキュラム案をもとに、各教科における論理的思考力・育成のためのカリキュラム案の統合を行う。これらの活動を受けて,最終的には,本テーマに関する教科横断的な研究会やワークショップの開催,研究成果報告書をブックレットや書籍としての公刊を行う。
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