2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造体による準単色陽子ビームの生成とコンパクト中性子源の開発
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17H02812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 匡且 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (80192772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クラスター加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
クーロン爆発によるイオン加速は物理機構が明確であり、単色化も比較的容易であることから、実 用化に最も近い手法である。平成29年度の研究実績としては、クラスター中に電離度と質量数が異なる二種の異なるイオ ンが一定比で混在すると、軽いイオンの準単色化(等エネルギー)が可能であることを理論的に導き、 これを数値実験で実証した。その理想的な配合比として水分子が近い値を持っていることを突き止め、直径 100 ナノメートル程度の水クラスター噴霧装置を使った実験を模擬した数値実験を行なった。その結果、エネルギーが 数メガ電子ボルト付近にシャープな分布を持 つプロトンを得ることに成功した。これは通常の平板ターゲットでは決して得られな いエネルギースペクトルである。重元素のドープ量を変化させると、予備計算から、プロトンのエネルギースペクトルは次第に単色化していくことがわかった。さらに、ナノクラスターの構成物質の組み合わせを探索し、加速される軽元素(プロトン) の単色率を計測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、2種混合のイオンのクラスターに関してのクーロン爆発パフォーマンスを定量的に調べることを設定していた。初年度である平成29年度には、レーザー(強度、パルス幅)と物質の組み合わせ、そしてターゲット構造(半径、初期密度、軽重イオンの混合比など)の最適化を、理論とシミュレーション(分子動力学法に基づい た3次元計算)によって行った。したがって当初予定の目標をほぼクリアしタコとになる。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーとナノ構造体の相互作用で出てくるMeV級のエネルギーを持つプロトンをリチウムやベ リリウムに入射させ核反応を起こす。その結果生成される中性子の生成効率を最大にすべく、理論・ シミュレーションによりナノ構造体の半径・密度、あるいはレーザー条件(強度やパルス幅)の最適 な組み合わせを計算する。
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Research Products
(7 results)