2018 Fiscal Year Annual Research Report
generation of quasimonoenergetic proton beam by nano-structured target
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17H02812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 匡且 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (80192772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ構造ターゲット / 理論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
各国の研究機関において、将来の様々な医療・産業応用を視野に入れた、超高強度レーザ ーを使ったプロトンビーム生成の研究がしの ぎを削って展開されている。本申請者は、カー ボンナノチューブ内に水素化合物を内挿した構造体に超高強度・超短パルスレーザーを照 射する ことで高品質のプロトンビームが生成されるイオン加速方式「ナノチューブ加速器」を提案した。 これとは別に、構成物質の配 合を最適化させた球状ナノクラスターのクーロン爆発によっ て単色プロトンを生成できる事を見出した。今後、理論・シミュレーショ ンと実験の手法 を用い、これらナノ構造ターゲットを使ったプロトンビーム生成の最適化を図ると共に、そのプ ロトンビームを使ったコンパ クトな中性子源の開発を目指す。最近、本申請者によって発見された「マイクロバブル爆縮」の概念(Sci. Rep. 8 (2018) 7537, M. Murakami et al.)によって、これまで人類が達成した物質の圧縮密度や電場をさらに3桁程度凌駕し、一気にSchiwinger極限に接近できる可能性が出てきた。これが実現されれば現代物理学へのインパクトは極めて大きいと期待される。本共同研究は、このマイクロバブル爆縮によるSchwinger極限へのアプローチという挑戦的な目標を如何に原理実証できるか、というチャレンジングな目標を掲げるものである。また、本申請における相手先研究機関(ELI)は、世界最大・世界最高峰の欧州共同体所轄のレーザー施設であり、今回の国際共同研究を機に、大阪大学と同機関とが提携し今後の共同研究体制の構築を図ってゆくことが中長期的な狙いでもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高強度レーザーと物質との相互作用に関する物理の研究を拠点研究機関としてオールジャパンの体制で継続して行って来た。本計画が含む「マイクロバブル爆縮による超相対論領域物理の開拓」の大半の基盤物理は、これまで我々が研究して来た内容と共通しており、長年培って来た物理的知見と実験ノウハウという観点から、本計画の遂行に支障はない。 研究代表者が研究計画全般を指揮している。共同研究者である余語、有川等と共に、欧州超高強度レーザー施設(ELI)と合同で実験を行っている。院生も数名、実験・解析などに参画しており概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「ナノプロトン砲」と命名した新構想ターゲットの構築が順調に進んでいる。中空のナノスケール球殻の一部に射出口を持たせたナノ構造体であり、この構造を使うことにより、内部に充填された水素化合物のプロトン成分が指向性を持ってビーム状に加速されることがわかっている。加速されるプロトンを全体的にビームとして得るためには、ナノチューブの軸の方向やナノ球の射出口の方向を、統一配向させて製作する必要がある。したがって今後、こうしたナノ構造体の現実的応用を図る必要性から、高精度のナノファブリケーション技術開発というテーマで産学連携を同時に推進してゆく計画である。
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Research Products
(7 results)