2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of asymmetric spin-orbit interaction on chiral magnets using polarization analzed small-angle neutron scattering
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17H02815
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
大石 一城 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 副主任研究員 (60414611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 繁男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60262953)
高阪 勇輔 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (60406832)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カイラル磁性 / 反対称スピン軌道相互作用 / 偏極中性子 / 中性子小角散乱 / 磁気構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、ヘリウム3冷凍機及び4T超伝導マグネットを用いて様々なカイラル磁性体の中性子小角散乱実験を行い、うち2件ではプレス発表を行った。交流帯磁率で低温に異常が観測された系について、その振る舞いが磁気転移温度近傍に出現するスキルミオン相と類似の振る舞いを示すことから中性子小角散乱実験を行った。その結果、スキルミオン相とは異なる磁気状態であることを示す結果が得られた。今後、磁気状態の詳細をミュオンスピン回転法により観測する予定である。更に、温度履歴及び磁場履歴が複雑な4f電子系カイラル磁性体の磁気状態の観測を行った。磁場をある結晶軸方向に印加した際に有限温度領域で現れる磁場誘起秩序相では、ホール抵抗の顕著な増大が観測される点がMnSiのスキルミオン相にと共通していることから本系でもスキルミオン格子の形成が示唆されていた。ヘリウム3冷凍機及び4T超伝導マグネットを用いて実験を行った結果、磁場垂直散乱面に六角形の散乱パターンを観測した。これは、MnSiのスキルミオン相と共通した振る舞いである。 小角散乱用圧力セルの開発では、クランプ型圧力セルを用いて中性子小角散乱実験を実施した。単一圧力での実験ではあったが、カイラル磁性体の長周期磁気構造による磁気衛星反射の観測、及びスキルミオンによる六回形の散乱パターンを観測した。次年度からこの圧力セルの実用化を開始し、低温・磁場・圧力という多重環境下での中性子小角散乱実験を実現する。 偏極スピン解析装置の開発においては、中性子のスピン反転装置「スピンフリッパー」の開発を進めた。次年度早々に中性子ビームを用いて予備実験を行い、このスピンフリッパー及びこれまでに開発したスピン解析装置群を用いて偏極スピン解析実験を実施する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイラル磁性体の中性子小角散乱実験結果を、論文(プレス発表含む)、学会、国際会議で発表し、成果創出を行ってきた。また、装置開発については、昨年度のヘリウム3冷凍機の開発、並びに4f電子系及び3d電子系カイラル磁性体単結晶育成に引き続き、今年度は、小角散乱用圧力セルの開発及び偏極スピン解析装置の開発、実用化を進めている。次年度、圧力セルを用いた中性子小角散乱実験及び偏極スピン解析装置を用いたカイラル磁性体の実験が本格的に始動することから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、ヘリウム3冷凍機及び4T超伝導マグネットを用いて、4f電子系及び3d電子系カイラル磁性体単結晶を用いた中性子小角散乱実験を実施する。また、圧力セルを用いた中性子小角散乱実験の実施及び偏極スピン解析装置を用いた実験を実施して、カイラル磁性体における反対称スピン軌道相互作用の解明を目指す。
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Research Products
(63 results)