2018 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of level 1.5 earthquake and tsunami in eastern edge of Nankai Trough, Japan
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17H02972
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
北村 晃寿 静岡大学, 理学部, 教授 (20260581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648)
豊福 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任研究員 (30371719)
宮入 陽介 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (30451800)
原田 賢治 静岡大学, 防災総合センター, 准教授 (40378922)
菅原 大助 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 准教授 (50436078)
山田 和芳 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (60508167)
佐藤 善輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (60751071)
三井 雄太 静岡大学, 理学部, 講師 (80717950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南海・駿河トラフ / 海溝型地震 / レベル1.5地震 / 正平(康安)東海地震 / 津波堆積物 / 貝類群集 / 酸素同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震学者の今村明恒は,1943年の「遠州東南地塊の傾動に就いて」で,御前崎において平均海面上0.5mと1.6mの位置から二枚貝が岩石に穿った孔の列を見つけ,前者は安政地震直前の汀線を,後者は宝永地震直前の汀線を示すとした.だが,位置図などがないためか,穿孔列は未確認だった.北村は御前崎で穿孔性二枚貝Penitella gabbii(オニカモメガイ)の体化石を波食台(標高1.05~1.35m)から発見し,10個体の14C年代値と御前崎の海成段丘の形成年代(Fujiwara et al., 2010)から,二枚貝化石の示す隆起は1361年の正平(康安)東海地震によるとした.また,P. gabbiiの生息深度(大潮時の低潮線より下)から隆起量を2.55m以上と推定した.この値は1854年安政東海地震(レベル1地震)の隆起量(1m)の2.5倍以上なので,1361年の地震はレベル1.5地震になる.本発見は,石橋・佐竹(1998)が古文書から推測した正平(康安)東海地震―1361年の正平(康安)南海地震の2日前に発生―の可能性を裏付け,南海・駿河トラフの海溝型地震が,東側で起きる東海地震の発生後,数時間から数年の期間をおいて,西側で起きる東南海地震あるいは南海地震が発生した事例を1つ追加した.本成果はKitamura et al. (2018a)で公表した. 本年度は,石垣島の津波堆積物の貝類群集に関する研究成果を2編の国際誌に公表した(Kitamura et al., 2018b, c).1つは津波堆積物中の貝類群集の種組成・重量の特徴に関するもので,これにより高潮堆積物との識別が可能となる.もう1つは,殻が閉じており,内側が空で,殻表面が摩滅していない二枚貝の貝殻の酸素同位体比変動から津波の発生季節を特定する手法の提示である.これらの内容はレベル1.5津波の実態解明に役立つ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,2017年度に引きつづき,静岡県焼津市浜当目低地において,以下の研究を行っている. 1.1498年明応東海地震の津波堆積物(タイプBのレベル1.5の地震・津波の可能性が最も高い事象)の陸側末端の確定 2.1854年安政東海地震以前の「地震性隆起」の検出 上記課題を遂行するため,掘削したボーリングコア試料の堆積環境推定と津波堆積物の特定を行っている.具体的的には,堆積相解析,貝化石,有孔虫化石,軽石抽出,CNS分析,イベント層の粒度分析を行っている.これらのうち,イベント層の粒度分析以外は本年度で完了した. 本年度は,浜当目低地の堆積環境を推定する上で必要となる干潟堆積物の調査も実施している.具体的には,神奈川県三浦半島江奈湾で干潟堆積物を採取し,堆積相解析,貝,有孔虫群集解析,CNS分析などを行い,現在,論文公表に向けて準備中である. 以上の研究状況から,概ね予定通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
静岡県焼津市浜当目低地から掘削したボーリングコアについては,2019年度内にイベント堆積物の粒度分析を完了し,論文公表の準備を行う.また,神奈川県三浦半島江奈湾の干潟堆積物に関する研究成果の論文を公表する.2018年度に本件とは別の研究資金で,清水平野において,先史時代の古地震・古津波の痕跡を発見したので(社会的影響があるので,ここでは詳細は記さない),本研究費でボーリング掘削を行い,その実態をより詳細に解明し,レベル1.5地震・津波に相当するのかを検討する.
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Research Products
(12 results)