2017 Fiscal Year Annual Research Report
衝突剥離過程の解明:天体衝突による惑星間物質輸送への応用
Project/Area Number |
17H02990
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
玄田 英典 東京工業大学, 地球生命研究所, 准教授 (90456260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 耕介 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (80616433)
岡本 尚也 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (80756130)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 惑星起源・進化 / 地球化学 / 惑星探査 / 宇宙科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、天体衝突によって物質が高速度で放出される衝突剥離過程の詳細を解明し、惑星間の物質輸送に関わる諸問題へ応用することを目的とする。天体衝突による物質の放出過程のうち、噴射過程と掘削過程については詳細な研究がされているが、惑星重力を振り切る程度の速度を持った放出物が大量に放出される衝突剥離過程については、実験的・理論的な困難さから、研究例は少なく、多くのことがわかっていない。本研究では、この困難さを真正面から克服し、衝突実験と衝突数値計算の2方面から衝突剥離過程の詳細を明らかにする。 初年度の衝突実験に関しては、放出物の直接撮像の障害となる弾丸貫入時の自発光の影響を取り除くために、単一波長光源装置を衝突実験装置に導入した。光学系の各種調整を行い、ポリカーボネイトを用いた衝突で放出する高速度物質の直接撮像に成功した。 初年度の衝突計算に関しては、超高解像度(CPPR500)の3次元衝突数値計算を大型計算機で実行するための準備を行った。現段階では、自前のワークステーションを用いた高解像度(CPPR100)の3次元衝突数値計算を複数ランを行っており、衝突実験で撮像された結果との初期比較を終え、衝突実験と衝突計算の良い一致が見られることを確認した。この研究成果は現在、論文にまとめている状況である。また、衝突剥離過程の物理的な考察、および数値計算で得られた結果を用いて、経験した圧力が低圧であるにも関わらず、高速度に放出される「後期加速」というメカニズムを発見した。このことにより、従来、問題が提起されていた火星隕石が衝突によって放出されるメカニズムを解決することができた。この研究成果は、Kurosawa, Okamoto, Genda (2018) Icarusとして出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衝突実験の設備に関しては、単一波長光源装置を予定通り初年度に導入および調整を終え、テストショットを行い、衝突直後の放出物の撮像に成功している。衝突数値計算に関しては、超高解像度(CPPR500)の3次元衝突数値計算を大型計算機で実行するための準備を行っており、現在、高解像度(CPPR100)の計算は、自前のワークステーションで実行可能な段階になっている。以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに研究を推進する。岡本(分担)の所属が、実験装置のある千葉工業大学からJAXAへ変わったが、比較的容易に出張することができる距離にあるため、本研究期間中は、できる限り千葉工業大学へ訪問し、実験することによって対応する。
|
Research Products
(27 results)