2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ground motion simulation for multi-fault event and mechanism of structual fatal damage due to ground motion duration
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17H03297
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 特任教授 (60115863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能島 暢呂 岐阜大学, 工学部, 教授 (20222200)
久世 益充 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (30397319)
伊津野 和行 立命館大学, 理工学部, 教授 (90168328)
渦岡 良介 京都大学, 防災研究所, 教授 (40333306)
北原 武嗣 関東学院大学, 理工学部, 教授 (00331992)
岩本 政巳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60232716)
古本 吉倫 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90303510)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強震動予測 / 強震動継続時間 / 海溝型巨大地震 / 構造物の損傷 / 構造物の履歴特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)申請者らにより開発された工学的基盤における非定常地震動の予測手法(EMPR)は、過去の多くの強震記録をベ ースにした強震動予測法であるが、巨大地震による強震記録はほとんど得られていないため、巨大地震の場合に 大きく励起される地域固有の長周期地震動を適確に取り入れた予測法の開発が望まれていた。先の研究では、これらの長周期成分をスペクトル強度の”各地域での特有の増分”として適確に取り入れる手法を提案し開発した。一般に、表面波成分は他の主要な成分とはある程度の時間差をもって来襲するため、この時間差が長周期構造物の応答に与える影響を検討した。 (2)地震動の正規化加速度累積パワー曲線を98次元の特徴ベクトルで表し、階層的クラスター分析を適用して経時特性を分類する手法を提案した。2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録に適用し、多重震源過程や震源域からの距離の影響を受けた経時特性を的確に分類可能であることを明らかにした。さらに、98次元の特徴ベクトルをKL展開によってモード分解し、3~6次元程度のモード合成で経時特性を概ね表現可能であることを明らかにした。 (3)上記(1)で開発された強震動予測法を活用し、各種構造形式毎に異なる強震継続時間ならびに連動する衝撃入力の 影響を定量的に把握し、強震動の破壊力を1次パラメータ“最大強度”に加えて、2次パラメータ“強震継続時間”、もしくは計測震度値の“複数衝撃入力”の組み合わせパターンにより表現することを検討した。 初年度では、(a)液状化地盤における土木構造物(2次:継続時間)、(b)一般の木造家屋構造(2次:複数衝撃入力)、多くの土木構造物の構造形式である(c)RC構造(2次: 継続時間)、(d)鋼構造(2次:継続時間)、等を対象として、それぞれの構造形式の被害レベルを二つの地震動情報等から簡便に推定する手法開発のための検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)断層規模が極めて大きい海溝型巨大地震による強震動予測法の一応の開発ができた。地域固有の長周期地震動成分については、地域特有の増幅の度合いに関してスペクトル成分の単純な増減で対応するモデルを開発したが、主要動との時間差の応答への影響については、さらに検討が必要である。 (2)長継続時間という特性を有する地震動の外力としての特性を十分な精度で予測するにあたっては、まず地震動の経時特性全体を把握しておくことが求められる。本年度、階層的クラスター分析による波形分類法の確立と、KL展開に基づくモード分解・合成法を確立し、K-NETにより得られた豊富な観測記録を活用して、それらの有効性を示したことにより、所期の目的は達成された。 (3)上記で開発された強震動予測法を活用し、各種構造形式毎に異なる強震継続時間ならびに連動する衝撃入力の 影響を定量的に把握し、強震動の破壊力を1次パラメータ“最大強度”に加えて、2次パラメータ“強震継続時間”、もしくは計測震度値の“複数衝撃入力”の組み合わせパターンにより表現することを一部の構造形式に関して提案した。 ここでは、自治体の地震被害想定調査で重要な検討事項 となる一般の木造家屋構造(2次:複数衝撃入力)と、多くの土木構造物の構造形式であるRC構造(2次: 継続時間)等を対象として、それぞれの構造形式の被害レベルを二つの地震動情報から簡便に推定する手法を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)強震動予測手法の開発に関しては、とくに断層規模が巨大な地震による強震動予測法の高精度化を図り、広帯域強震動予測法として完成させる。すなわち、我が国の都市部における沖積盆地構造地域での固有の長周期地震動をスペクトル強度の補正のみならず、主要動との時間差についても予測法を検討し、安全側の評価に対応できる予測モデルとする。 (2)強震動時刻歴波形の経時特性についての詳細な検討については、さらに精力的に実施する。平成29年度において、経時特性を対象として実施した波形分類法とモード分解・合成法を、平成30年度においては、振幅特性・周期特性に拡張する。具体的には、地震動の応答スペクトルの特徴量を抽出して、波形分類・モード分解・合成法を確立して、強震動全体の特性把握を可能とする方針である。 (3)上記(1)、(2)の成果に基づき、各種構造形式毎に異なる強震継続時間ならびに連動する衝撃入力の影響を定量的に把握し、強震動の破壊力を1次パラメータ“最大強度”に加えて、2次パラメータ“強震継続時間”、もしくは計測震度値の“複数衝撃入力”の組み合わせパターンにより表現することを提案する。最終的に、(a)液状化地盤における土木構造物(2次:継続時間)、自治体の地震被害想定調査で重要な検討事項 となる(b)一般の木造家屋構造(2次:複数衝撃入力)、多くの土木構造物の構造形式である(c)RC構造(2次: 継続時間)、(d)鋼構造(2次:継続時間)、等を対象として、それぞれの構造形式の被害レベルを二つの地震動情報から簡便に推定する手法を検討する。
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Research Products
(14 results)