2018 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚高臨場感データ収集・再生システムの構築と環境音評価への応用
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17H03351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 慎一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80282599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 孝珍 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (20738760)
朝倉 巧 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 講師 (60778207)
辻村 壮平 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (80409458)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚と聴覚 / シミュレーション / 環境評価 / 主観評価実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
実環境下における環境音や騒音の評価に対して,聴覚以外の感覚,特に視覚の影響は大きいと考えられる。当研究室では聴覚に対しては無響室内に3次元音場シミュレーションシステムを構築して各種音源に対する聴感評価を行ってきており,本研究ではそのシステムに映像提示システムを組み合わせることにより,環境音及び騒音の評価に対する視覚情報の影響を詳細に調べる実験的研究を行うことを目的としている。本年度は,下記のように,システムの音響的性能の評価検討,試験刺激の収集および実験システムの基礎的評価のための主観評価実験を行った。 1.スピーカシステムはドームスクリーンの外側に設置されるため,スクリーンの音響透過特性が影響すること,スクリーンの反射特性によって,被験者周囲には複雑な音場が構成され,音の干渉の影響が避けられないことから,システム内の受聴点における音響特性を詳細に計測し,収録した実音場の特性を再現するための補正システムの構築を行った。 2.昨年度に構築した,360度カメラとサウンドフィールドマイクロホンを用いた環境情報収集システムを用いて,航空機の離着陸音,道路交通騒音,鉄道騒音等に関する試験刺激の収集を,国内外において行った。 3.実験システムの基礎的性能に関する実験的検討として,屋内,屋外における種々の音環境を対象に,実現場における主観評価結果と実験室音場における主観評価結果との比較を行い,本実験システムの基本性能を確認するとともに,システム整備の上でのさらなる技術的課題を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験システムは,被験者の周囲に配した多方向のスピーカから離散的に音波が放射されることに加え,視覚評価のためのスクリーンは特有の音響透過性能を持つとともに反射体としても作用するため,空間音響的には非常に複雑な音場となる。したがって,システム中心に位置する被験者に実音場と等価な音響環境を提供するためには,精度の高い補正を行う必要がある。このような補正のための課題を,システムの基礎的性能を検討する主観評価実験を通して抽出し,その後に行った物理測定に基づいて適切なシステムとして整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集した種々の実験刺激を有効に活用しつつ,必要な実験刺激をさらなる現場測定によって適宜取得しながら,音環境の評価,騒音の評価に関わる主観評価実験を行う予定である。
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