2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of mitochondrial dynamics and its physiological relevance
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17H03667
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柴 琢己 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70403970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 利雄 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60201208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / RNAウイルス / 自然免疫 / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命機能の根幹を支えるミトコンドリアは、細胞内で絶えず融合と分裂を繰り返すダイナミックなオルガネラである。この「ミトコンドリア・ダイナミクス」の破綻は、生命の高次機能にさまざまな悪影響を及ぼし、特にヒトにおいては多様な疾患や病態と深く関係する。本研究の目的は、ミトコンドリア・ダイナミクスの分子機構を解明することにあり、この動的な細胞内における生命現象を生物物理学的に理解することで新たなミトコンドリア像の基盤確立を目指す。
該当年度は、ミトコンドリア・ダイナミクスの調節に関与する複数のタンパク質群を微生物(大腸菌)を利用しての発現系の構築、ならびにその一部の分子においては遺伝子改変マウスの作製を行った。初めに、大腸菌によるミトコンドリアタンパク質の組換え体の作製では、複数のコンストラクト(機能ドメインやタグの有無)に関してその発現系の構築に成功し、それらを用いて各活性測定や分子間相互作用に関する解析も行った。その結果、多くのコンストラクトについて調製された組換えタンパク質が正しいフォールディングを形成していることを確認した。また、そのうちの一部の組換え体においてはタンパク質の結晶化にも成功し、その後のX線回折実験により高分解能のデータ測定にも成功した。一方では、ミトコンドリア・ダイナミクスに関わる分子の遺伝子改変マウスの作製を研究分担者らと共に進め、ホモ接合体マウスの誕生まで完了することができた。実際に誕生した変異マウスは野生型と比較して有意に低体重であることが確認でき、現在はその体重変化の推移を観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年度は、遺伝子改変マウスの作製において、当初の予定通り、ホモ接合体マウスの誕生まで完了できた。また、組換えタンパク質の発現系の構築においても予想以上の進展があったため、進歩状況としては順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
該当年度は、ミトコンドリア・ダイナミクスに関わるタンパク質群のin vitro、及びin vivoによる実験を中心に進めた。今後の研究では、ミトコンドリア・ダイナミクスに関わる新規分子の網羅的な探索実験も進めていき、その全容解明に向けての分子マシナリーの構築を目指していく。また、結晶化タンパク質の立体構造解析、及びその構造情報を基にしたアミノ酸置換体の作製も並行して行い、ミトコンドリアタンパク質の機能解析を進めていく。遺伝子改変マウスに関しては、その生理的な意義を明らかにするために表現型の解析を詳細に進めていく予定である。
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Research Products
(8 results)